安部首相が自ら説明するようになったが…

安倍晋三首相が「桜を見る会」で追い込まれている。

税金が使われる公的行事に後援会メンバーを大量に招き「私物化」を図っているとの批判が吹き荒れているのだ。事態を重く見た安倍氏は、自らマスコミの前で丁寧に説明する手段に打って出た。しかし、その手法は安倍氏にとっては「鬼門」でもある。

2006年からの第1次安倍政権では、まさに記者団との質疑に丁寧に応じた結果、支持が右肩下がりになり、短期政権で終わってしまった苦い過去があるからだ。

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写真=時事通信フォト 記者団の質問に答える安倍晋三首相(右)=2019年11月15日夜、首相官邸 - 写真=時事通信フォト

「まず『桜を見る会』について答えます」と語り出した

15日午後6時21分。安倍氏は首相官邸の執務室を出て記者団の前に現れた。「桜を見る会」への対応、そして中国で拘束された大学教授が解放されたのを受けて記者団がコメントを求めたのに応じた形だ。

冒頭、「教授の解放」と「桜を見る会」の2問質問すると、安倍氏は「まず『桜を見る会』について答えます」と前置きした上で、とうとうと語り始めた。記者から問われた2問のうち、大学教授の解放については、答えやすい質問。それよりも先に「桜を見る会」について語り始めたのは「まず面倒なものを先にかたづけよう」という思いがのぞいた。

「桜を見る会」を巡っては、前日に後援会メンバーを集めて都内のホテルで行われた「前夜祭」の参加費が「5000円」と安い設定になっていたことから安倍氏側が穴埋めしたのではないか、という疑念が持たれている。

「全ての費用は参加者の自己負担で支払われた」

安倍氏は「きょう(15日)、事務所から詳細に報告を受けた」と前置きしたうえで「旅費、宿泊費等の全ての費用は参加者の自己負担で支払われた」と言い切った。

旅費、宿泊費は個々が旅行業者に支払い、「前夜祭」の5000円は会場入り口でいったん安倍事務所のスタッフが集金したがその場でホテル側に渡したという。要するに安倍晋三後援会の収支はなく、公職選挙法上も政治資金規正法上も問題はないという主張である。