「これは日本との問題というより韓米問題。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄すれば米国との関係も揺れる」(中道系韓国紙記者)

文在寅大統領 ©getty

米韓安保協議でも「日本の輸出規制処置が撤回されれば」

 23日午前0時。GSOMIA失効期限が迫る中、韓国の保守系メディアからは「延長すべし」という声が上がっている。GSOMIA破棄で保守派が憂慮しているのは、「米韓同盟の弱体化」、「米国から防衛費負担増額の圧迫」、「駐韓米軍撤収の危機」などだ。

 しかし、文在寅大統領は15日、米韓安保協議で訪韓したエスパー米国防長官ら米軍関係者を前に、「日本の輸出規制処置が撤回されればGSOMIA終了決定を再考できる」(京郷新聞、11月15日)と話し、17日、タイのバンコクで開かれた日韓国防相会談でも韓国は従来の立場を繰り返した。この会議に参加した韓国の鄭景斗国防相は、今年8月、韓国がGSOMIA見直しを決めた際にも最後まで反対した人物として知られ、前出の記者は「青瓦台(大統領府)の意向を伝えるのは忸怩たる思いがあったと思います」と話す。

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GSOMIAは韓国側から提案されていた

 韓国がGSOMIA破棄の意向を日本に通告したのは8月22日。日本が安保上の問題から韓国に対して行った「輸出規制」と「ホワイト国(輸出管理優遇国)排除」への対抗措置としていた。「青瓦台の大統領側近が強硬に押し切った」(同前)という。

 もともとGSOMIAは1989年、韓国から日本へ提案されていたもので、李明博元大統領時代の2012年6月、締結寸前で世論の反対に遭い、延期された。

 日韓で締結が実現したのは2016年11月23日。その年の1月と9月に北朝鮮は核実験を行っていたため、北朝鮮の核・ミサイル情報を共有することが狙いとされた。「米国にとっては、北朝鮮よりも、中国を牽制する意味合いが強い」(同前)協定だといわれる。

 韓国社会は、折しも、崔順実事件で混乱に陥っていた時期。追い詰められる中、朴槿恵前大統領は野党(進歩派)の反対などを強硬に押し切って締結に踏み切った背景がある。