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次に待ち受けるのは、日本企業の資産現金化

 GSOMIAの次に日韓を待ち受けているのは、元徴用工の裁判で被告となった日本企業の資産の現金化だ。

 現金化は韓国でも避けたいという雰囲気で、10月に訪日した李洛淵総理は安倍首相に「今までもこれからも1965年の日韓基本条約を遵守する」と伝えた。文喜相国会議長が早稲田大学の講演で「韓国企業+日本企業+日韓の国民からの支援金」という案を提案したことにも韓国側の意向は現われている。文議長の案は韓国の被害者から反発が起きているが、「日本では比較的前向きに受け止められていると聞いていて、進められるかどうかは被害者の説得いかんによるともいわれています」(韓国紙東京特派員)。

韓国の李洛淵首相(左)と握手する安倍晋三首相=24日、首相官邸 ©︎時事通信社

 最近、韓国では「韓国側が日本に賠償を求めない代わりに日本には懺悔と謝罪を求める」という案がにわかに浮上している。元徴用工の代理人のひとりである崔鳳泰弁護士は中央日報が12日に主催した「韓日ビジョンフォーラム」の席上で、「被害者と弁護団は韓日政府間で本格的な協議が始まれば強制執行(現金化)をしばらくの間中断することで合意している」と発言し、耳目を引いた。前出の保守系紙記者は言う。

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「日本は、韓国が1965年の基本条約を遵守するか否かを巡り、文大統領が言及していないことにまだ不信感があるといいます。韓国の立場からすれば、日本の植民地支配の違法性を1965年の条約に盛り込めなかったという欠陥は認めて、日本とのこんな不毛な葛藤は一刻も早く解消すべきです。文大統領のひと言にかかっているのです……」

 日本企業の資産の現金化の時期は、「来年2月以降」や資産の鑑定などの手続きを経た「1年後」などの予測が出ている。

GSOMIAの行方は

 18日には、中央日報が「GSOMIA終了決定自体を猶予する方策(決定を6カ月後に延期するもの)」の存在や「(日本が)輸出規制を直ちに撤回しなくとも文大統領が4日、タイのバンコクで安倍首相に提案した『高位クラスの協議』を日本が受ければ変化の兆しと解釈できるのではないか」とGSOMIA破棄を回避する方策を示唆。さらには、「米国、GSOMIA終了待避プランB」と米国がGSOMIA破棄後のプランの準備に入ったと報じると、青瓦台は「まだ失効したわけではない」と応酬している。

 GSOMIAを生かすよう、日米韓では詰めの協議が水面下で密かに行われているといわれ、19日、文大統領は国民300人とのタウンミーティング『国民との会話』(MBC)の生放送で従来の立場を固守しながらも、「GSOMIA終了直前まで日本、米国と水面下の接触などでGSOMIA問題解決のための努力をしていく」と話した。

 GSOMIAを巡り、韓国はどんな答えをだすのか。

 破棄となれば高笑いするのは中朝だ。