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なぜ「次郎」「久兵衛」ダブルヘッダー?

 ではここで話を2014年に戻す。オバマ氏は来日初日になぜ「次郎」も「久兵衛」もいきなり食べたのか。

 次の仮説はどうだろうか。

「ホテルに出前を頼んだのはオバマ側ではなく、『久兵衛』に気を使った安倍首相サイドだったのではないか」説である。

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 会食は「次郎」になるが、その前にホテルへ出前を差し入れることによって「久兵衛」のメンツも保たれる。こう考えるとすしダブルヘッダーの不自然さが解消されるし「次郎」でオバマが半分残したという報道もなんか納得できる。

 最大のオチはオバマ氏がすしの食べ比べをしたかったという「異様なすし好き」説であるが……。

©JMPA

 こうしてミステリー小説を読むように私は「すし読み比べ」にワクワクしていた。

 ところが、7カ月後の2014年11月にまたしても不思議なことが起きた。

「すきやばし次郎」の小野二郎氏と息子の禎一氏が、日本外国特派員協会での講演で「オバマ大統領は、出されたものはすべて召し上がった」と話したのである。

《「寿司を残した」とする報道については「官邸やホワイトハウスからコメントするなと言われていたので黙っていました。お出ししたものは全部召し上がって頂いて、喜んで頂いたので、ありがたく思っています」と話した。》(The Huffington Post 2014年11月4日)

「すきやばし次郎」小野二郎氏 ©文藝春秋

 なんと!

「官邸やホワイトハウスからコメントするなと言われていたので黙っていました」。この小野氏の証言の意味……。

 こう言ってはなんだが、すしを食べたか食べなかったかぐらいで、なぜ官邸とホワイトハウスから口止めされなければいけないのだろうか。なぜ「すきやばし次郎」のすしを完食したと言ってはいけなかったのだろう。安倍首相と官邸サイドにとってそれだけ「久兵衛」は特別な存在ということか?

 まさに「すしミステリー」。私は一人でザワザワし、そして堪能していた。

 だから今回も「前夜祭」で久兵衛のすしが出ていたという報道を見て勝手に思っていたのである。関係の深い両者なら5000円という「特別サービス」もありなのだろうか、と。

 ところが、ここでまた驚くべき記事が飛び込んできた。