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理由その1:飲むべきほかの酒が増えた

昭和50年代からはビールが台頭してきている。それ以前はビールは高価な飲み物だったが量産体制が整ったことと、家庭での冷蔵庫の普及で一気に需要を伸ばした。また、のど越しもよく夏の暑い日本には必須の飲み物となり、全国のビアガーデンやビアホールが盛況だったことを覚えている人もいるだろう。

昭和から平成に代わる、いわゆるバブル期からはなんてったってワインだ。ボジョレー・ヌーヴォー人気、赤ワイン健康ブーム、ソムリエの登場、低価格輸入ワインなどがいまも続きワインは好調に消費を伸ばしている。

平成12年(2000年)ごろからは本格焼酎ブームもあった。一升瓶3万円とも5万円ともいわれる、森伊蔵、魔王、村尾の「3M」が話題になった。

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つまり、日本酒以外にも飲むべき、楽しむべき酒類が、市場にあふれてきたのだ。さまざまな酒類の中で日本酒は取り残されてしまったのだ。

「日本酒は悪酔いする」というイメージ

理由その2:日本酒はまずい

昔、一気飲みさせられ嫌な思いをした、ひどく悪酔いした。日本酒と聞けばこう答える人が多い。これにはいくつか理由がある。

酒の品質にばらつきがあったり、保存管理が悪く劣化した酒を提供していた店があったりしたこと。雑菌だらけの酒燗器のお燗(かん)は体にも悪かった。

また、戦後コメ不足の際に生み出された、醸造アルコールにブドウ糖や水あめなどの糖類、乳酸やコハク酸などの酸味料、そしてグルタミン酸ソーダを調合して造った三倍醸造酒がまだ流通しており、それを多量に飲んで気持ちが悪くなることも多かった。

逆に、70年代よりフルーティーで冷酒にぴったりの良質の吟醸酒が出回り始め、口当たりの良さで許容量以上に飲んでしまったこともその理由といえる。これは酒の質のせいではないが。さらに、一気飲みや罰ゲームで無理やり飲まされる当時の飲酒文化も日本酒に悪酔いイメージをつけてしまった一因だろう。