平成4年に廃止となった日本酒の級別制度。お酒に含まれる税金の違いで特級、一級、二級と分かれていたものを意味がないと廃止。
その後は、「特定名称酒」という呼び名で区別されているが、廃止後約30年たった今は、それさえも意味がないものとなってきている。米という農作物にかかわる法律ではなく、酒税によって区分される日本酒。一般消費者は戸惑うばかりだ。
理由その6:飲む必要がない、酔いたくない
この問題が実は一番難関ともいえる。特に若い世代から聞こえる声だ。日本酒を飲む必要性を感じない、と。これ、日本酒に限らずアルコールを飲む必要がないと思っている人が増えてきている。
とはいえ、度数の低いカクテルやサワー、梅酒などは飲みたい、飲んでみたいと言う声もあるから、そこは複雑。
さらに、酔っぱらいたくない、飲む暇があったら、酔う暇があったら別のことをしたいと考える人も増えている。飲む暇があったらゲームをしたい。
そのほうがうんとリラックスできる……という若い人の気持ちは、筆者にはわからないが、これからはそういう思いの若者たちがどんどん増えるのだろうと想像する。
「飲むことは悪いこと」という認識を変える
「季刊酒文化 特別号下2018 巻頭研究 酒の平成史 業界グローバル化と主体的な飲酒へ(酒文化研究所)」によると飲酒管理には以下の4パターンがあるとしている。
まずDは非ターゲット。Aは現在の消費メインターゲット。ある意味ほうっておいても伸びていく層。Bは飲み方の提案次第で飲む可能性が出てくる層。販売者、提供者の努力次第だ。
課題はCだろう。飲めるのに飲まない人たち。飲むことは悪いことのように言われている気さえする。ここをどのように変えていくかが、日本酒離れ、アルコール離れを食い止める要かもしれない。
トータル飲料コンサルタント
福井県出身。1988年、アンジェ大学、エクサン・プロヴァンス大学、ボルドーにて、語学とワイン醸造を学ぶ。翌年に帰国、田崎真也氏に師事、ソムリエ、ワイン・コンサルタントとして独立。1990年、「日本酒サービス研究会(SSI)」発足サポート(現同会役員)を経て、トータル飲料コンサルタントなる。現在、お酒でおもてなしができる人1700名を率いるSAKE女(サケジョ)の会の代表理事。