昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/11/23

 第8図は最近のパワーバランス変化についてのイメージ図である。米中は、貿易戦争という形態で、熾烈な覇権争いを展開している。朝鮮半島のパワーバランスについていえば、米国はこれまでほとんど日本を当てにしてこなかったが、現下の状況では日本にまで「日米同盟の強化」を謳い文句として、パワーバランスの好転につなげる努力を要請している。安倍総理もこれに対し防衛予算の増加や防衛法制の整備などで応じている。

第8図(著者提供)

今後韓国が中国陣営に与することも十分に考えられる

 このような際どい状況下で、韓国がGSOMIAを破棄することは、第8図の通りに、韓国が中国陣営へ“逃亡”するに等しい行為である。米国としては「許し難い暴挙」と受け止め、様々な圧力・説得を加えたわけだ。

 トランプ政権はこれまで、「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」への協調や「在韓米軍の駐留経費の負担額引き上げ」などで、韓国の本気度を試すべく「踏み絵」を踏ませようとしたが、文在寅大統領は煮え切らない態度に終始してきた。

 GSOMIAを破棄すれば、文在寅政権は中国陣営参入に向けて、“ルビコン川に足を踏み入れる”ことになるはずだった。だが、今回の「条件付きのGSOMIA終了通告停止」は単なる問題の先送りであり、今後いかなる結果に帰着するのかは分からない。これまでの経緯から見て、韓国がGSOMIA破棄を一里塚として中国陣営に与するようになることも十分に考えられる。

 もしそのような事態になれば、我が国を取り巻く安全保障環境は抜本的に変わることになる。我が国は大陸正面にバッファーゾーンを失い、米中覇権争いの最前線に立たされることになる。そうなれば、我が国は、安全保障政策の抜本的な見直しを迫られることになると肝に銘ずるべきであろう。

この記事の写真(9枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文藝春秋をフォロー