PISA(経済協力開発機構が3年おきに実施する国際学習到達度調査)における日本の「読解力」の順位が急落したことを、12月4日新聞各紙が1面で伝えた。毎日新聞は総合面で「『PISAショック』再び」と見出しを付けた。「PISAショック」とは、2003年のPISAの結果で日本の順位が急落し、2002年に始まったばかりだったいわゆる「ゆとり教育」への疑念が噴出したことを指す。
なんとも皮肉なのは、今回PISAを受験した子どもたちが実は小1から中3まで「脱ゆとり」教育を受けた1期生だということである。「PISAショック」から生まれたカリキュラムを受けた子どもたちが新たな「PISAショック」の当事者になってしまったわけだ。
そもそもPISAの順位に意味はある?
もちろんPISAとは国の教育力を競う大会ではなく、順位の変動自体には本質的な意味はない。数値に有意な変動があるならば、その背景を探り、新たな打ち手を見つけることにこそ意味がある。またそもそも経済協力開発機構(OECD)は経済の観点から教育を評価しており、その学力観が絶対的ともいえない。
であるからして、今回PISAでの成績が低迷したからといって「すぐに対策を!」というのは安直である。対策が必要な可能性は高いが、どんな対策が必要なのかを見出すには十分な議論が必要だ。そこを焦れば、大学入試改革のすったもんだの二の舞になりかねない。