いまから20年前のきょう、1997年3月22日、JR西日本のダイヤ改正にともない、山陽新幹線(新大阪~博多間)の最速列車「のぞみ」で新型車両500系の運用が開始された。最高速度は時速300キロ。営業列車としては当時世界最高レベルだった。同系の「のぞみ503号および500号」は広島~小倉間を平均時速261.8キロ、所要時間44分で結び、「定期運転の営業列車による世界最高記録」としてギネスブックにも登録された(97年6月23日)。

山陽新幹線500系(岡山市・吉井川橋梁、2008年) ©時事通信社

 500系は、JR西日本が初めて自社開発した新幹線車両である。開発にあたっては、時速300キロ運転により環境に負荷がかからないよう、騒音・振動などを抑える工夫があちこちになされた。独特のロングノーズ化した先頭部も、トンネル通過時に生じる衝撃波を抑えるため、このような形になった。これは、水中にくちばしから飛びこむ野鳥のカワセミからヒントを得ている。

 とはいえ、この先端形状のおかげで、客室部分が少なくなってしまう。そこで、先頭車の運転室寄りの出入り口を省略し、客室面積を増やした。さらに普通車のシートピッチも、従来の300系車両より20ミリ詰めた1020ミリにして座席を多く設置。結果的に、16両編成での総定員数は、300系より1名多い1324名となった。

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 500系「のぞみ」はデビューから8ヵ月後の97年11月29日には、東海道新幹線にも乗り入れ、東京~博多間で直通運転を開始、同区間を4時間49分で結んだ。ただ、車両ごとの座席数が、300系やのちに登場した700系、N700系と異なるため、ダイヤの運用にあたりネックになる。そうした理由もあり、2010年2月には「のぞみ」および東海道新幹線での運用を終了。現在は山陽新幹線でのみ「こだま」として運用されている。

「500 TYPE EVA」(博多駅で) ©共同通信社

 それでも、500系の人気はまだ根強くある。2015年11月からは「新幹線:エヴァンゲリオン プロジェクト」と称して、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』をイメージしたデザインの「500 TYPE EVA」車両が運行中だ。運転は来年春までというので、ファンには見逃せない。また、昨年4月にオープンした京都鉄道博物館には、500系(521形)の先頭車両が収められ、展示されている。