「相手チームをリスペクトしなさい」という教え
ラグビーのU20日本代表監督の水間良武は、リスペクトについて次のように語る。
「ラグビー選手は若いころから『相手チームをリスペクトしなさい』と教えられます。今回のW杯では、ノーサイドのあと客席に向かって日本流のお辞儀をするチームが増えている。お辞儀も、日本文化へのリスペクトのあらわれといえるのではないでしょうか」
スポーツは、相手がいてこそ成立する。それに加え、ラグビーは、球技としては最多の1チーム15人でプレーする。たくさんの人がかかわっているから、チームメイトや相手チーム、そして支えてくれるレフリーや指導者、ファンを「尊重」する文化が浸透したと考えられる。
ラグビーは「情熱」によって肉体を極限まで鍛え上げた30人の選手たちが、ぶつかり合ってボールを争奪するスポーツだ。プレーには、野性的な闘争心が不可欠である。だが、だからこそ、剥き出しの闘争心をコントロールするための「品位」と、ルールを遵守する「規律」が必要になる。
「規律」は15人の「結束」に欠かせない
さらに「規律」は、異なる体格や特徴を持つ15人が「結束」するうえでも欠かせない。水間は言う。
「15人それぞれが与えられた役割を果たすことで、チームが機能します。どんなに優れたプレーヤ―がいたとしても、仲間を思いやれなくてはチームの結束も規律も保てません。『I』ではなく『We』。ラグビーでは『私が』ではなく『我々が』という考え方が大切になってくる」
規律を無視して自分勝手なプレーをくり返し、イエローカードやレッドカードが出ればどうなるか。チームは1人少ない14人で戦わなければならなくなる。
ゲーム中、どんなに理不尽な出来事に直面したとしても、仲間のために、チームのために、応援してくれるファンのために、規律と品位を保ち、プレーを続けなければならない。