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JR京葉線&総武快速線の“ナゾの終着駅”「上総一ノ宮」には何がある?――2020東京五輪で注目のワケ

2019/12/16
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舞浜駅で半分の客が降りていく……

京葉線の「上総一ノ宮」行きに乗り込む

 京葉線のスタートは、ご存知東京駅の遠い遠い地下ホーム。始発駅なので座ることができた。少しずつ乗客が増えてきて、新木場駅を出たあたりでは立っている人もたくさんいるくらいの混雑ぶり。そしてその半分くらいが舞浜駅で降りていった。12月の平日だと言うのに、例のテーマパークはなかなか盛況のようだ。そこから先は少しずつ乗客が減っていく。外房線に直通する蘇我駅ではもうすっかり車内はガラガラである。東京駅から通して終点の上総一ノ宮駅まで乗ろうとする酔狂な客は、筆者くらいしかいないのであろう。車窓には高い建物などほとんどなく、真っ青な快晴の空が大きく見える。

京葉線は蘇我駅まで。そこからは外房線に直通する

東京から1時間30分、上総一ノ宮には何がある?

 こうしてすっかり車内はがらんどうになって、東京駅から約1時間30分。目的の上総一ノ宮駅に到着した。列車が着いたホームは島式の2番のりば。そこから古びた木造の跨線橋を渡って駅舎のある3番のりばへと向かう。これまで訪れてきた終着駅はたいてい何もなく、駅舎も興味をひくようなものではなかったので、この跨線橋がいかにも古そうな設えというだけで少し期待してしまう。

東京駅から約1時間30分で到着。木造の跨線橋が出迎えてくれた

 上総一ノ宮駅の駅舎は、そんな期待にたがわず立派な駅であった。白い壁と褐色の屋根瓦は房総の青空によく映えて、黄色いレンガのようなもので装飾されている正面の出入り口や車寄せの柱からは他の駅とは一味違う、プライドのようなものが伝わってくる。周囲の建物と比べても背が高く、まさに堂々とした佇まいの駅なのだ。調べてみると、この誇り高き駅舎ができたのは1939年のことだとか。房総半島には古い木造駅舎が多く残っているが、そうした中でもひときわ古く、ひときわ立派な駅舎であろう。

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1939年に出来たという上総一ノ宮の駅舎

 そして駅の目の前には地域色の強い飲食店や土産物店にタクシー会社。すこし歩けば一宮町の観光協会などもあった。そしてさらに先に一宮の中心市街地が広がっている。

駅前には飲食店や土産物屋があった