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そういえば駅にもサーフボードがあった

 改めてサーファーの町であることを知って駅に戻ると、たしかにそういう節は駅の中にもあった。駅舎自体はともかく、1・2番のりばのある島式ホーム中央のガラス張りの待合室は、座席の背板がサーフボードになっている。オリンピックもやってくるのだからもっと盛り上げてもいいと思うところではあるが、ホームから海側に直接出られる新たな出入り口が目下工事中。来年6月にこれが完成すれば、もっとオリンピックムードも盛り上がるのだろう。

駅の座席の背板がサーフボードになっている
来年の五輪に向けてホームから海側へ出られるように目下工事中。

 ……と、ここまで上総一ノ宮駅と一宮を歩いてみて気がついたのだが、これではなんの終着駅らしさもないではないか。これまでの“謎の終着駅”というのは近くに車両基地が広がっているだけで、取り立ててなにもないことが特徴であった。それが、上総一ノ宮駅には車両基地がないかわりに歴史やサーフィンがある。まるで立派な観光、リゾートの駅である。

 帰宅時に寝過ごしてやってきたらさすがに絶望感はあるが、朝の通勤時に“わざと”乗り過ごして上総一ノ宮にやってきたら、なんだか日頃のストレスから解放されて楽しい1日になってしまいそうである。それはそれでいいのだが、なんだか終着駅の旅らしさがいまひとつ。でもまあそれもそのはず、東京からはかつての“国”で言えば下総を抜けて上総までやってきている。終着駅もここまで突き抜けて果てまでくれば、見知らぬ土地も悪くはない。

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写真=鼠入昌史