ソフトバンクグループ(SBG)は、11月6日に発表した2019年7月~9月決算で、創業以来最悪となる7001億円の最終赤字を計上した。傘下のベンチャー・ファンド、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が投資した米シェアオフィス「ウィーワーク」などの企業価値が大幅に下がったことが原因だ。経営不安説も流れたが、SBGの孫正義社長は記者会見で「大勢に異常なし」と言い切った。

大きな決断をするたびに「今度こそダメ」と

「今回の決算、ボロボロでございます。真っ赤っ赤の大赤字。まさに台風というか大嵐でございます」

 11月6日、東京・箱崎のロイヤルパークホテルで開かれたSBGの決算説明会は孫社長の「反省の弁」から始まった。背後のスクリーンに映し出されたスライドは大時化の海が映し出されていた。しかし約30分のプレゼンの最後に、孫社長は穏やかな海のスライドをバックにこう宣言した。

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「大勢に異常なし」

穏やかな海原を背景に「大勢に異常なし」 ©︎大西康之

 孫社長曰く、SVFの投資先はウィーワークなど22社が評価減になったが、一方で評価増の会社が37社あり、差し引きで投資先の評価額は1兆2000億円増えている。2019年8月の時点で20.9兆円だったSBGの株主価値は、SGBの株主価値は11月に時点で22.4兆円に増えている。だから「大勢に異常はない」というのである。

 ADSLのモデムを無料配布して通信事業に参入、日本テレコムを買収、ボーダフォンの日本事業を買収。米携帯大手スプリントの買収。孫社長は大きな決断をするたびに巨額の借金を背負い、その都度「今度こそダメ」と言われてきた。孫社長は11月6日の決算説明会で、そのことに触れ「今までも困難な再生を成功させてきた」と自負をのぞかせた。