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テック企業ではなく、ウィーワークは不動産会社

 ウィーワークは現在、世界30カ国、100を超える都市で700ヶ所のシェアオフィスを提供している。2018年には米最大の銀行であるJPモルガンチェイスを抜き「マンハッタン最大の店子(オフィステナント)」になった。約890万平方フィートのオフィススペースを保有し、100以上のシェアオフィスを運営している。マイクロソフトの営業部門の30%はウィーワークのスペースを使っており、アマゾン・ドット・コムはマンハッタン・ヘラルド・スクエアにあるシェアオフィスを丸借りしている。

 マイクロソフトやアマゾンがウィーワークのヘビーユーザーになっているのは、先端のサービスやコミュニティが欲しいからではない。ただ単に賃料が安く、固定費を抑制できるから。

ニューヨークにあるウィーワークのシェアオフィス ©iStock.com

 つまるところ、ウィーワークはテック企業でもなんでもなく、ただの不動産会社だが、米国の金融市場にとっては、極めて重要な役割を果たしている。金融関係者が証言する。

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「今、ニューヨークのオフィス賃料を高止まりさせているのは、ウィーワークです。世界の主要都市でウィーワークがオフィススペースを借りまくっているせいで、商業用地のキャップレート(還元利回り)が上がり、不動産相場を支えている」

支える役回りのSBGには凄まじい負荷が……

 この数年、各国の金融緩和でジャブジャブの投資マネーは不動産投資信託(REIT)に流れ込んでいる。日本でも東証REIT指数は年初から25%強上げており、「みんなが買っている一方的な状況に、非常に危うい」(金融関係者)になっている。

 ウィーワークが潰れて、借り上げてきた大量のオフィスを吐き出せば、不動産バブルの堤防が決壊し、世界中が水浸しになる。次の世界的なバブル崩壊局面ではこの会社が、リーマン・ショックの時のリーマン・ブラザースになるかもしれないのだ。

 ウィーワークは簡単には潰せないが、それを支える役回りになったSBGには凄まじい負荷がかかる。

 孫社長の「大勢に異常なし!」は、のちに「令和のバブル崩壊」を予兆する言葉として歴史に刻まれるかもしれない。