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“台風15・19号”災害派遣で活躍 自衛隊ヘリパイロットが忘れられない「あの光景」

陸上自衛隊航空操縦士 インタビュー#1

2020/01/19

genre : ニュース, 社会

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 自衛隊の災害派遣は、原則として被災自治体の派遣要請を受けてから。ただ、近年では被害が大きく派遣要請が予想されるケースでは自衛隊が自主的に被災地に出向き、自治体からの要請を受けると直ちに被災地で活動に入れるような体制を整えている場合も多いという。

「事前に地上の連絡員が各市町村役場や県庁などに入って情報を収集し、派遣要請への対応もスムーズにできるようにしています。台風19号でも、関東地方に台風が上陸する前には連絡員の派遣は全て終わっていたと思います。そうして彼らからの情報はもちろん、我々が航空偵察で掴んだ情報などをまとめて被災地への支援に活かしていきます」

 

東日本大震災での“忘れられない光景”

 台風15・19号での災害派遣では人命救助の任務はなかったという第1師団第1飛行隊。ただ、吉田さん自身はかつて所属していた部隊で東日本大震災における人命救助に従事した経験を持つ。

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「2011年、東日本大震災当時は第10師団(司令部:愛知県所在)の飛行隊に所属していました。そこで発災直後に東北に向かい、2日後には宮城県の船岡駐屯地を拠点に活動を開始しました。活動範囲は、宮城県内、北は仙台空港あたりから南は山元町あたりまでですね。

 今回の台風と同じように航空偵察から始まり、そのあとは人命救助。ロープで隊員を降ろし要救助者を吊り上げるホイスト救助もしました。そして発災から数日経つと、行方不明者の捜索ですね。我々は地上からだと見えない沿岸部や海の上を捜索しますので、そうすると亡くなられた方が海に浮いていたりして……。その光景は強く印象に残っていますね」