台風15号・19号と、立て続けに関東地方を襲った巨大な台風。その中で人命救助や物資輸送などで力を発揮したのが自衛隊の災害派遣だ。この台風における災害派遣で、ヘリコプターによる航空偵察や物資輸送などを担った陸上自衛隊第1師団第1飛行隊の吉田達雄さん。前回は実際の災害派遣活動の任務について詳しく聞いたが、今回は陸上自衛隊における“ヘリコプター”の役割や飛行技術について聞いた。

(全2回の2回目/#1より続く

陸上自衛隊第1師団第1飛行隊の航空操縦士・吉田達雄さん

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「1都6県の防衛が第1師団の任務」

「第1飛行隊では通常時は2機がいつでも飛び立てるように待機しています。ただ、そうそういつも何かが起こるわけではないので、待機だけで終わることも多い。そうした時には、基本的に訓練ですね。実際にヘリを飛ばして訓練することもあるし、机上で訓練の計画を立てる業務もあります。

 私たちの本来の任務は国防です。第1師団で言えば、1都6県の防衛。国民の皆様の生命や財産をお守りすることが我々の仕事です。ですから、そのために必要な技術を磨く訓練を日々続けているんです」

訓練でヘリ(UH-1J)を操縦する吉田さん ©陸上自衛隊

「上空から地雷散布をすることも考えられる」

「第1飛行隊のUH-1Jというヘリは、陸上自衛隊の他のヘリと比べれば小さいのですが、機数はいちばん多くて汎用性の高い多用途ヘリ。いろいろな任務のための装備を取り付けられるのが特徴で、ホイスト装置や映像伝送装置はもちろんですが、他にも緊急患者の搬送の時は担架を取り付けることもできます。人員輸送という点でも後部に10名ほどは乗せられますし、使い勝手の良いヘリ、と言えますね。

 その上で、私たちの主とする任務は、いわゆる戦闘支援です。有事の際に戦闘する隊員たちを必要な場所に運ぶ。もちろん航空偵察も入ってきますし、地雷散布装置を付けて上空から地雷散布をすることも考えられる。機関銃を装備しての訓練ももちろんしています」

訓練中の吉田さん ©陸上自衛隊

 こうした“有事”の際のさまざまな任務。いざというときにそれを確実に実施するために、吉田さんら飛行隊の隊員たちは日々訓練を続けている。訓練の中心は、戦技飛行。航空機同士の戦闘を想定してのものだ。