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2020/01/19

genre : ニュース, 社会

国民の期待が高まる「災害派遣」への想いは?

 吉田さんが言うように、自衛隊の本来の“主たる任務”は国の防衛である。そうした中で、近年は“従たる任務”である災害派遣の頻度が増え、国民からの期待も高まっている。そうした現状を、吉田さんはどう考えているのだろうか。

「国民の方々からの災害派遣への期待の高まりは、私としては仕事のやりがいにつながりますし、生きがいにもなります。ただ、忘れてはいけないのは主たる任務である国防への任務意識。国防のために必要な練度を磨いていくことです。そしてそれを主たる任務以外に当たる、従たる任務である災害派遣にも活かしていかなければならない。ある意味で高いハードルを与えていただいているのかなとも思いますし、だからこそ、それをクリアしていくというのが私たちに課せられているものなのだと思っています」

 

「消防や警察に負ける気はしない」

 吉田さんの所属する第1飛行隊は東京西部、立川市の立川駐屯地にある。立川駐屯地は自衛隊の一駐屯地であると同時に、立川広域防災基地の一部分を構成する。駐屯地の飛行場は東京消防庁や警視庁の航空隊も共用で、消防や警察との共同訓練も実施しているという。毎年開催されている立川防災航空祭には自衛隊と消防、警察がともに参加するなど、相互の連携も重視されている。陸上自衛隊のヘリパイロットとして熟練の腕を持つ吉田さんは、消防や警察のヘリをどう見ているのだろうか。

「消防は本当に人命救助に命をかけているんだなというのは見ていてもよくわかりますし、警察は保安を主としているんだなというのもわかるんです。普段は離着陸をするところくらいしかみることはできないのですが、やはりそれぞれがそれぞれの求められるところで力を発揮するべく訓練をしているわけですから。ただ、私たちも毎日厳しい訓練をしていますから。だから、離着陸ひとつとっても、消防・警察に負ける気はしないです。それも陸上自衛隊第1飛行隊のプライド、誇りのひとつだと思います」

 

 先だっての台風15号・19号をはじめ、多くの災害派遣に従事してきた自衛隊のヘリパイロット、吉田さん。昨今は災害の頻度も増えて激甚化も進み、自衛隊の災害派遣の機会は飛躍的に増えている。そしてそうした自衛隊の活動を通じて、安心感を抱いたり頼りがいを感じている国民も多くなっていることだろう。その中で、自衛隊は“主たる任務”である国防のために日々訓練に励んでいるのだ。

写真=石川啓次/文藝春秋

(全2回の2回目/#1“台風15・19号”で活躍 自衛隊ヘリパイロットが忘れられない「あの光景」から続く)

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