昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

即位パレード 自衛官だけど“プロの音楽家”――陸上自衛隊「中央音楽隊」を知っていますか?

陸上自衛隊中央音楽隊 インタビュー#1

2019/11/10

 即位の礼や来日した国賓のお出迎えなどの国家的行事や毎年行われる自衛隊音楽まつりでその姿を見ることのできる「陸上自衛隊 中央音楽隊」。11月10日の即位パレードでも皇居正門前で演奏を行なった。

 屈強な肉体を誇る人たちが集うイメージの強い陸上自衛隊の中にあって、音楽隊は“音楽”を仕事としているいわば音楽家である。いったい、彼らはどんな“自衛官”なのか。そして普段の活動とは――。陸上自衛隊の隊員たちの中でも比較的目にする機会の多い中央音楽隊について、同部隊のある陸上自衛隊朝霞駐屯地でコンサートマスターを務める植竹友和1等陸曹に話を聞いた。(全2回の1回目/#2へ続く

自衛官であり、音楽家である陸上自衛隊「中央音楽隊」とは? ©共同通信社

◆ ◆ ◆

そもそも「中央音楽隊」とは?

――まず、そもそも陸上自衛隊中央音楽隊とはどのような組織なのか、教えてください。

「大きなくくりで言うと、陸上自衛隊で16職種ある内のひとつ、音楽科職種でして、我々は音楽を専門に活動しています。音楽隊は全国の5方面、また師団・旅団にもそれぞれあるのですが、中央音楽隊は“中央”ですからいちばん大きな編成の音楽隊といえます」

陸上自衛隊「中央音楽隊」コンサートマスターの植竹友和1等陸曹

――音楽科職種の頂点ということで全国の音楽隊を統括する立場でもあるんですか。

「統括とは少し違うんですね。例えば方面の音楽隊は方面総監の下にあるという形になっていまして、我々中央音楽隊は防衛大臣直轄です。みな音楽科職種であることは変わりないですが、部隊としてはそれぞれ違う指揮系統です。ただ、中央音楽隊は全国の音楽隊の教育を担当していて、音楽科職種になると必ずここで教育を受けることになっています。また、人事異動も全国規模なので各音楽隊との交流はもちろんあるんです」

年間180回――3日に1回ペースで演奏

――中央音楽隊ですから、やはり全国の音楽隊から腕ききが集まってくるんですよね。

「そういうことになりますね。自衛隊の音楽科で採用されると最初に地方の音楽隊に配属されて、そこで技量であったり自衛官としての資質であったりで選抜されて中央音楽隊に集まって来るというイメージです。私も最初は東北方面音楽隊でキャリアをスタートしています」

――中央音楽隊には何人くらい所属しているのでしょうか。

「約100名です。教育を担当する教育科、そして部隊全体の運用を担当する企画科、そして演奏科で構成されています。実際に演奏するわれわれ演奏科は約80人。ただし、全員が揃って演奏するという機会はなかなかなくてですね、式典の規模や演奏場所に応じてメンバーを編成して行なっています」

 

――演奏機会の頻度はどのくらいでしょうか。

「昨年の実績で約180回です。中央音楽隊の役割は主に4つありまして、ひとつは陸上自衛隊のための演奏。これは隊員の士気を鼓舞するための演奏です。2つめは国家的儀式に際しての演奏。即位の礼や特別儀仗、その他式典での演奏です。3つめは自治体等行政機関からの要請に基づく演奏。最後は教育。先ほどの180回の演奏というのはこれら全てを含めた実績です」

――180回ということはだいたい3日に1回のペースですか。

「中には1日に複数の演奏が入ることもあるんです。そういうときには人数を振り分けて。毎年都内のコンサートホールで定期演奏会もやっていますが、ホールを確保するのはだいたい1年くらい前なんですよね。でも、直前になって儀仗の演奏が入ることもあるわけです」