とんかつとDJ、編集部は「これ大丈夫か」って感じでした(笑)
――大学で出会ったというのは、サークルか何かですか。
小山:大学のとき、コントとかのお笑いをやってたんです。それで大喜利大会を自分たちで開いたときに参加してくれて、さらには優勝をかっさらっていったのがイーピャオで、というのが出会いのきっかけです。最初からマンガをやろうとかそういう話ではなかったんですよ。
イ:お互い卒業してから、こういう案があるから一緒にマンガやりましょうってことになったんですよね。
――おふたりは漫画と原案という形での分担とのことですが。
イ:この手の分け方って、普通は作画と原作なんです。ただ「原作」という役割は、コマ割りやセリフをいれた、ネームというところまでやってこそなんですが、僕はそこまでできず(笑)。毎週ふたりで打ち合わせて案出しをする役割といったところなので、「原作」でなく「原案」くらいにしとこうと。
小山:かっこよく言うと「ブレーン」ですね。
イ:それなら名刺にブレーンって入れようかな(笑)。
小山:ネームや作画はおれなんですが、お互いに立場は対等です。アイデアもイーピャオのものが悪かったらちゃんと言うし、おれのがダメなら正してくれます。あと担当編集の村越さんもかなり話作りに関わっているので、3人で作っているという意識はありました。
イ:この作品を貫いてる少年漫画の王道、「ジャンプ」の伝統でもある「友情・努力・勝利」という方向は村越さんが打ち出してくれた部分です。第三者的な視点がよかったと思っています。入り口がしょうもないギャグだったので、真面目なことをやっているだけでおもしろいだろう、という考えもありました。それに連載として毎週やっていくとなると、ただおバカネタをやっているだけだと、飽きてしまって描くペースもつかめないと思うので、それなら少年漫画らしい軸のある展開があったほうがいいだろう、ということです。
――担当編集の村越さんとしては、このマンガを最初に読んだとき、どう思いましたか。
村越:ぼくはなんでも笑っちゃうタイプなので、最初からおもしろいと思っていました。とんかつとDJ、2つのテーマを両立できるかなと思いつつも、バカらしくていいな、と。ただ編集部の反応は、これ大丈夫か、って感じでしたね。
イ:やっぱりそういう感じだったんですね(笑)。
最初の連載会議に向けて、「事業計画書」を作りました
――ギャグから始まったこの作品ですが、全体の構想は最初からあったのでしょうか。
小山:普通の漫画家さんはネームを3話分つくって編集さんに提出するんですけれど、おれたちは最初の連載会議に向けて、全体の事業計画書というか、プレゼン用の資料を作りました。
イ:事業計画書というと怪しいビジネスみたいな感じですけど(笑)。
小山:いろいろ不安に思うところもあったので、ちゃんとした計画書を作ろう、という動機でしたね。
イ:その最初期の事業計画はほとんど消化した上で終わることができたんです。それに理想のボリュームも考えてありましたね。
小山:3巻くらいのまとまりも好きなんですが、今回は最初から10巻くらいで作ろうと思っていました。
イ:結局は全11巻になりましたが、大人買いできる限度を考えると、このくらいでよかったなと思いますね。