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 ご公務から身を引いた上皇・上皇后両陛下が私的にコンサートなどを鑑賞されるお姿は退位後もテレビなどで見掛ける。昨年の11月1日にラグビー・ワールドカップの3位決定戦をご覧になった様子や同20日にドイツのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演を鑑賞された様子を収めた新聞や通信社の写真には「代表撮影」というクレジットがついているものがある。

上皇・上皇后両陛下のお車の先頭に新設の「上皇旗」

 これはつまり、宮内庁がマスコミの取材を公式に設定しているということだ。だが、ご公務に熱心に取り組まれている高円宮妃久子さまの様子がテレビで取り上げられるケースはあまりない。元天皇・皇后としてマスコミも宮内庁自体も、やはり特別視してしまっていることが分かる。ご退位を祖先に報告する親謁の儀では、上皇・上皇后両陛下のお車の先頭に「上皇旗」がはためき、話題となった。人によっては天皇旗より立派に見えるという人もいた。

天皇皇后両陛下 ©文藝春秋

「上皇旗は今回、新たに作られたものです。ほかに現在使用されているのは天皇旗、皇后旗、内親王旗や女王旗としても用いられる親王旗の3種類しかありません。天皇旗、皇后旗、親王旗は明治期の旧海軍旗章条例や大正期の旧皇室儀制令などの規定に準拠したものです。つまり、上皇は憲政史上では今回初めて特例として規定されたわけですから、上皇旗には当然、準拠すべき旧法令がないのです。事実上の皇太子である秋篠宮さまは皇太子旗を使用していません。二重権威の懸念を徹底的に排除するというのであれば、わざわざ上皇旗を作る必要はなかったのではないかという意見もあるのです」(同前)

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 今回、上皇后さまの体調不良を発表したのは、上皇・上皇后両陛下の側近ナンバー2である上皇侍従次長の高橋美佐男氏だ。警察キャリア出身で2003年9月から06年8月まで宮内庁総務課長を務め、12年6月からは侍従次長、御代替わりに伴い昨年5月1日付で現職にスライドした人物である。

宮内庁庁舎 ©共同通信社

側近にとっては「取締役会長」のイメージ?

「高橋さんは上皇后さまに心酔していると宮内記者会内でも噂されるほどの上皇后さまの“シンパ”です。また、ことあるごとに上皇后さまのお気に障るような週刊誌報道に対する不満を口にしています。でも、高橋さんら上皇職幹部の上皇・上皇后両陛下に対する思いが強すぎることが、傍から見ると宮内庁内に二重権威が生じており、それが外部から見てもそう受け止められてしまっているということなのではないでしょうか」(前出・宮内庁担当記者)

 上皇陛下が「専用の旗を作れ」とか「マスコミを呼んで取材をさせろ」などとおっしゃるとは到底思えない。適切な例ではないかもしれないが、天皇陛下を一般企業で言うところの代表取締役社長に例えるなら、ご公務から完全に身を引かれた上皇陛下は名誉顧問といった位置付けにすべきではないだろうか。

 だが、宮内庁の幹部や元幹部、とりわけ上皇・上皇后両陛下の側近や元側近の目には、上皇陛下は現状、名誉職ではなく取締役会長といったイメージに映っているように思われる。二重権威批判は、週刊誌側の“邪推”などではなく、宮内庁内の“取り巻き”に原因があると言えるのではなかろうか。