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連載NHK大河ドラマ「真田丸」の舞台 真田氏ゆかりの地をめぐる

第6回【上田城その2】上田市民から数百年にも渡って愛され続けてきた名城

『真田三代』 (火坂雅志 著)

2016/02/06

genre : エンタメ, 読書

note

天守閣はあったのか?

 現在の上田城には大阪城や松本城のような天守閣は存在しない。では過去にはあったのだろうか。その存在を示す確たる証拠が残っていないため明言はできないが、発掘調査により城内から金箔を貼った鯱(しゃちほこ)の一部がいくつも見つかっていることから、天守閣にふさわしい建物が存在した可能性が高いと考えられている。金箔瓦は安土桃山時代の城特有で、織田信長の安土城や豊臣秀吉の大坂城などで使用され、地方の城ではあまり見られない。また、昌幸が上田城を築城した時期と同じ頃に建てられた松本城や諏訪高島城などには立派な天守閣がある。さらに昌幸の長男・信幸(信之)が沼田城に五層の見事な天守閣を造っていることからも、昌幸が上田城に天守閣を作らなかったと考えるのは不自然だろう。

なぜ石垣に石臼や墓石が?

尼ヶ淵側の石垣

 上田城の尼ヶ淵側の石垣には石臼や墓石の一部が組み込まれている。なぜだろうか。元々上田城が築かれる前の土地には田畑や集落が広がっていた。昌幸が上田城を築くとき、それまでこの周辺に住んでいた住民を立ち退かせたが、その際住民が捨てていった石臼や放置されたお墓の石を石垣の石材として使用したのではないかと考えられている。石材不足の折、使えるものは何でも使おうということなのか、あるいは千曲川が流れている尼ヶ淵側は人の目に触れないから気にしなかったのか、石垣を眺めながらいろいろ想像してみるのも楽しいだろう。上田城を訪れた際にはぜひ探してほしい。

石臼(中央の縦と横に線が入っている石)
五輪塔の一部(中央の黒い長方形の石)

上田城
●所在地:長野県上田市二の丸
●交通アクセス:JR北陸新幹線「上田」駅から徒歩約10分
●南櫓・北櫓・西櫓観覧料:
 大人:250円
 大学・高校生:180円
 中学・小学生:60円
※2016年3月1日から以下のように料金改定
 大人:300円
 大学・高校生:200円
 中学・小学生:100円

真田三代 上 (文春文庫)

火坂 雅志(著)

文藝春秋
2014年11月7日 発売

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真田三代 下 (文春文庫)

火坂 雅志(著)

文藝春秋
2014年11月7日 発売

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第6回【上田城その2】上田市民から数百年にも渡って愛され続けてきた名城

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