球穢れなく道険し、心折れても筆折るな。

 こんにちは。文春野球のコミッショナー村瀬です。開幕から1カ月、プロ野球のペナントレースも盛り上がっておりますが、こちらコラムのペナントレース“文春野球”もなんとか軌道に乗ってきたような気がしております。

 この「コミッショナーだより」では月に一度、ペナントの戦いを振り返ると共に個人タイトル各賞の発表や公示などをしていきます。学校でもらう学級通信ぐらいの重要度だと思ってください。

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 それではさっそく3・4月期のパ・リーグからまいりましょう。

新鋭が引っ張る混戦のパ・リーグ

 首位を走るのはオリックスのDOMIさん。コラム初挑戦ながらミュージシャンらしい独自の視点と言葉のチョイスが光ります。遊び心と情熱に溢れ、出囃子とプレーのテンポをリズムを表す「BPM」で論じたり、安達了一選手のコラムではセイバーメトリクスまで繰り出したり、何より“挑戦者”の姿勢を崩さず、毎週コラムを書き続けるバイタリティが凄い。「文春野球最大の功績はコラムニストのDOMIさんを発掘したこと」とまで言われるほどです。

 2位は東北楽天のかみじょうたけしさん。芸人さんらしい口語を交えたリズミカルな文章で読みやすく、コミカルな中にもマニアックな情報を入れつつ、華麗すぎるオチで読後感もよし。オープン戦で「ゆで卵始球式」を行った記事を楽天・立花陽三球団社長が読み、コボスタでの始球式に呼ばれるなど注目度も上がっています。

 3位は北海道日本ハム・えのきどいちろうさん。開幕からの日ハムは大谷、中田など主力が相次いで離脱し、10連敗を含む6勝19敗と苦しすぎる状況でした。そんな中でも「弱い時の愛するチームの見方」を教示してくれたコラムはさすがの一言。10連敗中にあったふたつのコラム。まだ見ていない人は、味わい尽くしてほしいです。

 わずか100HIT差で4位の千葉ロッテ梶原紀章さん。“中の人”反則じゃねぇかというお言葉も頂きましたが、球団広報という立場では制約も多く「中にいる分、絶対に負けられない」と重圧も相当のようです。しかも他媒体に3つも連載を持ち、YouTubeやTwitterも更新しつつ、本職でも完璧な対応をしてくれる。そんな中で球団の裏側から見た貴重な情報を高いクオリティで紡ぎ出すコラムを毎週書き続ける馬力は人間業とは思えません。

 5位は埼玉西武の中川充四郎さん。入団時から30年来の付き合いである盟友・辻新監督の考えや人となりを書いた開幕戦のコラムは充四郎さんしか書けない珠玉の名作。27年間ライオンズとパ・リーグを伝え続けた経験を基に、古きをたずね今のライオンズを知るコラムは面白いだけでなく、本当に勉強になります。

 6位は福岡ソフトバンクの松中みなみさん。屈強な執筆者に囲まれる中、“ゆるふわ”コラムで勝負を挑みます。最初の1カ月は代打の切り札“ニイニイ”(松中信彦)は投入せず、反応を見ていると思いきや「みんなに引っ張られないようにコラムを見ないようにしていたら、もう3試合もやってるんですか!」とうっかりさんでした。Twitterのフォロワー数は5万人。大逆転する可能性は十分にあります。

独走巨人を止めるのは? セ・リーグ

 続いてセ・リーグ。優勝候補の前評判通り、圧倒的な強さを見せつけたのが巨人のプロ野球死亡遊戯さん。開幕戦から坂本、阿部、長野、亀井と王道の選手コラムすべてが2800HIT越えと規格外の強さを見せつけロケットスタートに成功。覇道を進みます。

 2位には東京ヤクルト長谷川晶一さんが食い下がります。綿密な取材から紡ぎ出される職人技のコラムは手数も豊富。白眉は現役一軍投手コーチ・伊藤智仁氏の文春野球での現役復帰宣言。第1回は間もなく掲載予定です。代打サヨナラ満塁本塁打を放った鵜久森選手のコラムは燕党のみならずプロ野球ファンの心を打ちました。

 3位は横浜DeNAの西澤千央さん。3試合の出場ながら全試合1000HIT越え。四十路主婦の妄想と情念が爆発し、筒香選手やロペス選手が、テレサテンや火曜サスペンス、日本香堂で語られる世界が内外で反響を呼んでおります。連投できるペース配分を掴めば、優勝戦線にも食い込めるはずです。

 4位は阪神・山田隆道さん。開幕当初はロッテと同じく外部配信で読まれながらもHIT数が伸び悩み一時は最下位に沈んでいましたが、3本目あたりから徐々にHIT数が増え始め一時は3位にまで浮上。逆境に置かれても自分の文体を崩さない頑固さで阪神ファンの心に訴えます。

 5位は広島・大井智保子さん。慣れないコラムに悪戦苦闘し12球団で一番少ない2試合の登板ながら、開幕戦の赤松選手で1200HIT越え、2戦目のルーキー加藤投手のコラムでは850HIT越えと着実に結果を残しています。かつてのカープの若手のように泥に塗れても貪欲に吸収しようという姿勢で1試合1試合を大事に戦います。

 6位は中日・竹内茂喜さん。野武士野球復活を掲げて挑んだ開幕の巨人戦で、いきなり「くたばれ」とやって賛否を巻き起こしたり、バルデス投手を帰化させて「ワタシノナマエハ、ヤマモトバルデス!」とやったりと独自すぎる世界観で突っ走ります。セ・リーグを掻き回す台風の目になりそうです。