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【動線】とてもスムーズ。シミズオクト、グッジョブ!

 とてもスムーズに自分の座席までたどり着くことができた。

 場内外に掲出されたゲートやブロックの案内は過不足ないものだったし、チケット判読機付きの入場ゲートは、試合後にまとめて側面の壁まで動かせるので、多くの人々が一度に素早く退出できる。

可動式の入場ゲート ©河崎三行

 そしてなにより感心したのは、マンパワーだった。

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 都営地下鉄・大江戸線「国立競技場」駅から地上に出るとまず、目の前の歩道に左右正反対の方向へ向かって歩く二つの人の流れができているのだが、近くに立っている係員に自分のチケットに書かれたゲート番号を伝えれば、どちらに向かって進むべきなのかきちんと教えてくれる。そして場内でも目当てのブロックにたどり着くまで、どこでどの係員に聞いても、適切な誘導をしてくれた。見たところ、そのほとんどがこの試合のためだけに雇われた学生アルバイトのようだったが、事前に周到な係員教育が行われたであろうことがうかがわれた。シミズオクト(新国立競技場や東京ドームなどの施設管理を行っている会社)、グッジョブ!

 もっとも、これが五輪本番ではどうなるのか。十分な施設知識を持つだけでなく、外国語対応もできるボランティアを、新国立を含めた各競技場に揃えなければならないのだ。大会組織委員会の頑張りどころのひとつだろう。

採点:100点(あくまで天皇杯決勝時点では、の話)

©iStock.com

【スタジアム内】シート周りの狭さとカップホルダーに要注意

・シート

 天皇杯決勝直後から一番不満が上がっているのが、シート前後のスペースの狭さのようだ。

 確かに狭い。前を人が通る際は、立ち上がらざるを得ない。ついでに言えば左右のスペースも余裕がなく、冬の着ぶくれした状態だと、ちょっと体を動かせば隣の観客に触れてしまう。それでも冬はまだいい。夏のオリンピック時、半袖やノースリーブのシャツを着た恰幅のいい人同士が隣り合ったりしたら、お互いかなりビミョーな思いをするのではないだろうか……。

 とはいえ、シート周りのスペースをたっぷり取れば、当然収容人数は少なくなり、それはそれで問題視する向きも出てくるのだろうし。

シート前後のスペースが狭いとの声が…… ©AFLO

 また、各座席の前にはカップホルダーが設置されているのだが、最前列は前のフェンスに固定されているからいいものの、2列目以降では、前の席の背もたれ裏にホルダーが取り付けられている。ここに、買ったばかりでなみなみとコーヒーが注がれているカップを置くとどうなるか? 前の観客が席を立った際、座面を跳ね上げるバネの力が強すぎ、そのバンッという振動で背もたれ後ろのコーヒーがこぼれてしまう光景を周囲で何度か目にした。これ、隠れた要注意ポイントである。

こちらは1列目のカップホルダー ©河崎三行

 カップが小さなコーヒーだから、まだ靴の前にこぼれるぐらいで事なきを得ていたものの、夏の観戦時の、大きなカップに注がれたビールだとしたら……オリンピック本番では、スタンドのそこかしこで阿鼻叫喚の声がこだましそうな気がする。

採点:60点(より多くの人々の観戦機会と、各座席での心地よさのどちらを優先させるかは、本当に頭を悩ませる問題なわけで……)