1月1日、東京オリンピック・パラリンピック2020のメイン会場「新国立競技場」で、初のスポーツイベントとなるサッカー天皇杯決勝が行われた。
五輪本番を想定したテストイベントでもあるこの試合のチケットを、幸運にも入手することができた。座席の位置は、2層目スタンド2階北西部分。さらに詳しく説明すれば、メインスタンドから見て左サイドの手前側コーナーフラッグがほぼ眼下に見えるブロックの最前列である。
となれば、せっかくの機会だ。オリンピック時を想定しながら、観客としての立場でスタジアムのあれこれをチェックしてきた。満員状態でのビッグマッチで“シン・コクリツ”は果たしてどんな姿を見せ、何を感じさせたのか? これからレポートしていこう。
【外観】北京五輪のメインスタジアム“鳥の巣”に勝ってる!?
スタジアムの内外でまず目を惹くのは、ふんだんに使われた木材だ。各層から外に向かって延びるひさしの裏側に等間隔でぎっしり細長い板が渡されていたり、スタンド上を覆う屋根の梁にも使われていたりして、設計者の隈研吾氏がテーマに掲げた“杜のスタジアム”と呼ぶにふさわしい。と同時に、強く“和”を感じさせる。
例えば北京五輪でのメインスタジアムとなった北京国家体育場、通称“鳥の巣”は、世界的な建築家ユニットの作だけあって、一度見たら忘れられない独創的な外観をしている。しかし、初めて鳥の巣を目にした外国人があの外観から中国らしさを感じられるかといえば、かなり怪しい。
その意味で新国立競技場は、全体的なフォルムや第一印象こそ強烈なインパクトを与えるものではないが、細かなディテール部分で日本を、東京を、世界の人々にわかりやすくアピールすることができているデザインではないだろうか。
ちなみに試合中、ピッチ脇に設置された両チームのベンチの骨格材も、スタジアムのコンセプトに合わせて木製(あるいは木目調の金属?)だった。競技場全体でデザインの統一感を持たせる上で、いいアイディアだと思った。
採点:85点(印象批評で申し訳ないですが…)