文政権を支える「国家より個人」という思考
長期化しそうな日韓の緊迫した関係。その根底にあるのは、「国家」を重視する日本に対し、韓国が「個人」を重視するという、政治的体質の違いがあると黒田氏は分析する。
「日本は1965年の日韓基本条約や請求権協定など国際法の優先を主張しているのに対し、韓国は個人の要求を重視した最高裁判決という国内法を優先している。図式的にいえば日本は『国家』を重視し、韓国は『個人』を重視し対立していることになる。これは保守・右派の安倍政権とリベラル・左派の文政権の、政治的体質の違いでもある。
韓国では軍人政権時代が終わった1990年代以降、いわゆる民主化によって『国のかたち』が変わってしまった。民主化時代とは『国家より個人』の時代ということである。(略)それが国内についてだけなら問題はなかったのだが、日韓関係という対外関係にまで持ち出されるようになった。とくに懸案が日本との過去にかかわる場合、韓国側には国際関係というよりどこか国内問題のような心理がある。(略)
しかし日本側には経済発展し大きく強くなった韓国に対し、これまでとは違って『もう特別扱いはしない』という雰囲気が広がっている。(略)こうした日韓の変化とすれ違いのなかで、安倍・文在寅というリーダーシップないし政権の性格の違いが重なり、外交的、国家的対立が深まったというのが昨今の日韓関係の現状である」
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日韓関係の歴史的分析、韓国政治「10年周期の法則」、さらには黒田氏が予想する文在寅政権の「ツートラック」の政策スタイルまで――。黒田氏の特別寄稿の全文「韓国"自殺大統領のトラウマ"が生んだ文在寅政権『ハン(恨)』の行動原理 2020年は内外『ツートラック』使い分けへ」は、「週刊文春デジタル」で公開している。
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