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連載むらむら読書

「全人類読んでくれー!」と思った“やっかいな人”への対処本――犬山紙子「むらむら読書」

2020/01/21

 2019年は本当にたくさんの良い小説に加えて、良い実用書とも出会いました。この連載ではあまり実用書について触れないのですが、全人類読んでくれー! と思った本があったので今回はそちらについて書きます。

 まずタイトルが『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』。著者はマーク・ゴールストン氏。全米トップ精神分析医に選ばれた方でFBIの人質解放交渉のトレーナーも務める方だそうです……。スゴ!

©犬山紙子

 いやあ、悩みってほとんど人間関係ですものね。特に「何故この人はこんなにも話が通じない?」「この人論理破綻しているけどそれで押し切ってくる……?」「相手の気持ちを全く考えていないな」などなど身近にいるやっかいな人たちに悩まされるわけです。で、私たちは正論で立ち向かい、話し合えばわかってくれるはずだと思いコミュニケーションを試みるのですが、余計ややこしくなって沈没するというのがおきまりのパターンです。まあ、その時点で「相手が理不尽な状態であるから正論は通じない」って冷静に判断できていないんですよね、こっちが。相手のやり口だって見抜けていないし、相手が何故そう思うに至ったかも知れていない。もちろん私も幾度となく失敗しました。

 じゃあどうすれば良いか? がプロの目線で解説されています。具体的な方法(かなり細かいケース別に対処法が載っている!)は本を読んで貰うとして、「この人と離れるべきか向き合うべきか?」という判断や離れる時にどうすればよいのかの助言もある。自分がやっかいになってしまわないために知りたいことも、夫婦や思春期の子供、援助を受け入れない老いた親とのコミュニケーションも、と痒いところに手が届く。

 と、ここまでこの本の宣伝のようになっていますが、こういったコミュニケーション方法って学生時代に習いたいことなんですよ。「メンタルケア」「コミュニケーション」「SOSの出し方」は日本で学生に必須で教えるべきだと私は思っているのですが、教わらなかったんだから自力で勉強するしかない。やっかいな人が周りに1人もいない時期ってなかなかないし、それは日々に影響があったりして。家族や上司がやっかいとか想像しただけで鳥肌が立ちますもん。やっかいな人に対処できず、溜まりに溜まって自分がやっかい化することだってありますから。

 やっかいな人を2人以上抱えると「生きるの大変だよ?」って私はなりがちですので、読んで良かったし、全人類読んで! って思うんです。

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