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2020/01/10

ロシアとのINFを破棄した米国の真の狙いとは

 そして、昨年からちらりちらりと顔をのぞかせ始めているのが、米国による「中距離ミサイルの配置問題」だ。別の中道系紙記者が言う。

「日本が韓国をホワイト国(輸出優遇国)から除外するとした8月初め、米国はロシアと結んでいた中距離核戦力全廃条約(INF)を破棄しました。これは、米ロで核弾頭を装着できる中距離弾道ミサイルなどを破棄する軍縮条約ですが、米国は表向きにはロシアの違反を理由に破棄した。しかし、実際は米国が条約に縛られている間に中距離ミサイルなどの開発や配備を進めている中国を牽制したことは明らかです。

 この翌日にはエスパー国防長官が中距離ミサイルをアジアに配置することをほのめかした。今年に入ってから北朝鮮が新たな戦略武器に言及すると、米国の専門家らは中距離ミサイルを韓国へ配置することを再度持ち出しています。

 米国から提案された従来の5倍ほどといわれる駐韓米軍の防衛費の負担を軽減する代わりに配置案が出ているという話が昨年暮れ頃から出回っていて、この話が本格化すれば世論が紛糾するのは必至です」

原告側弁護人ら ©時事通信社

 米国のアジアへの中距離ミサイル配置は北東アジアの安保に大きな変化をもたらすことになり、日本にとっても他人事ではない。

「中距離ミサイルの配置問題」で韓国はまたも米中との板挟みに

 韓国では、朴槿恵前大統領時代の2016年7月、北朝鮮のミサイル防御を目的とした高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国内での配置が正式に発表されると、韓国世論は猛反発。揉めに揉めたが、現在、レーダー1個、発射台6基が韓国南部の慶尚北道星州に配置されている。

 THAAD配置により影響を受けたのは国内世論だけではない。一気に冷え込んだのが中国との関係だった。

©getty

 その中国とは、今年上半期に習近平国家主席の訪韓が調整中といわれ、韓国にかけられた「限韓令」が解かれるか否かに関心が注がれている。前出・中道系記者の話。

「昨年12月23日、中国・成都で開かれた韓中日首脳会談で、習国家主席と首脳会談を行った文大統領は中国との関係改善に意欲を示しました。

 THAAD配置当時、中国では韓国製品の不買運動が起き、中国に進出していたロッテマートの多くは営業停止から閉鎖に追い込まれました。『限韓令』では中国からの団体旅行が制限され、韓流コンテンツが中国国内から閉め出された。K-POPなどの芸能人の中国での活動(コンサートなど)はビザ発給が制限されて不可能となり、韓国産ゲーム販売権も停止。韓国のコンテンツの放送なども中止されたままです。

 これが解かれるのではないかという希望的観測が出ていますが、米国の中距離ミサイル配置が公に議論されれば、韓国はまた米中との板挟みとなる」