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2020/01/14

 マンション価格が上がると、あわてて「マンションを早く買わなければ」と思ってしまうのが日本人の性。マンションを買って、値上がりして一儲けという昭和から平成初期に培われた不動産神話がむくむくと頭をもたげる。

 さらに政府はフラット35なる、最長35年にもおよぶ超長期住宅ローンを設計。異常な低金利とあいまって不動産業界は「買え、買え」の大合唱を始めることとなった。だが、実は掛け声とは裏腹に新築マンションに対する需要は15年前と比べると半分以下になっていて、19年の首都圏マンション供給戸数は3万1000戸台と予測される。

好景気でもないのに都心オフィスビルが絶好調なワケ

 オフィスも19年は絶好調だった。特に渋谷エリアではスクランブルスクエアをはじめ多くの新築ビルが供給されたが、テナントはいっぱい。都心5区の主要オフィスの空室率は1%台半ばと、史上空前の低さを記録した。勤労者の実感とはかけ離れて、日本経済も絶好調のような錯覚にとらわれるほどだ。

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 だが、少し冷静になって考えてみれば、今の東京は戦後から高度成長期に建設された老朽化ビルの建替えが主体だ。建替えるためには既存ビルに入居中のテナントを追い出さなければならない。追い出されたテナントは当然、今空いているビルに転居する。そうして空室率が大幅に下がっているのだ。

 もちろん地方都市でのオフィス空室率の低下は、周辺エリアから地方都市に勤労者が集まってきて、オフィス需給がタイトになっているという要因もあるが、東京都自体は人口が増えているといっても年間9万人強。このうち約3万人は外国人の増加だ。つまり、オフィス勤労者が急増しているわけではなさそうなのだ。

韓国との対立で訪日外国人の増加基調も足踏み

 インバウンド(訪日外国人)の急増でホテル建設もラッシュだ。インバウンドの数は18年で3100万人を超えた。インバウンド拡大政策はアベノミクスでの金融政策と並んで効果のあった政策といえようが、インバウンド数の約4分の1を占めていた隣国・韓国といがみあってしまった結果、増加基調は足踏みとなっている。このままでは「2020年4000万人」という政府目標は、売られた喧嘩を買ってしまったがゆえに達成できそうもない。

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 京都や大阪ではすでに「作りすぎ」てしまったホテルや簡易宿所などの稼働率が、対前年同月比で10%から15%も落ち始めている。さて、こうした中で東京オリンピック・パラリンピックが開催される。宴の始まりだが、不動産マーケットはどうやら「終わりの始まり」かもしれない。

 新築マンションの需要はさらに落ち込みそうだ。昨年10月の消費増税の影響は大きい。マンション価格の80%から90%は建物代だ。土地には消費税はかからないが、建物には税の負担がのしかかる。

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