「待てゴーン! 今日こそは逃しやせんぞ!」

 現在公開中の映画『ルパン三世THE FIRST』に登場する銭形警部なら、こう言ってレバノンに向かうに違いない。

 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告が、ICPO(インターポール)から国際手配されたのは既報の通り。2020年1月9日には、東京地検が警察庁を通じ、ゴーン被告の妻、キャロル氏についてもICPOに国際手配を要請したことが明らかになったばかりだ。

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2020年1月8日にレバノンで行った記者会見でのゴーン被告 ©getty

「検察は、2019年4月、キャロル氏が東京地裁での尋問に出廷した際、虚偽の証言をした疑いがあると主張しており、ICPOを通じた国際手配によって夫人の行動を制限する狙いがあると思われます」(社会部記者)

ICPOには逮捕権はなく、仕事ぶりは地味

 バーバリーのトレンチコートに、ソフト帽を被った劇中の銭形警部は、

「インターポールの銭形です」

 と名乗り、得意の“手錠投げ”でルパンを追いかけ、世界中を駆け巡っている。ただ、これはフィクションの世界。実際のICPOの仕事ぶりは、もっと地味だと明かすのは警察庁関係者だ。

「ICPOには逮捕権はなく、現場にいって犯人を追い詰めるような任務は負っていません」

©iStock.com

日本は1952年、 前身組織の時代から加盟

 ICPO。正式名は国際刑事警察機構といい、世界の刑事警察を中心に構成する国際組織だ。本部はフランス南東部の都市リヨンにある。

 ICPOのホームページによれば、現在は194の国が加盟している。これは国連に次ぐ加盟国の数だ。加盟国の分担金により運営されている ICPOだが、日本が拠出する分担金は2番目に多い(2019年時点)。

 また、日本は1952年、 ICPOの前身組織の時代から加盟しており、ICPOの総裁も輩出している。

「96年、 ICPOの総裁に就任したのは警察庁国際部長(当時)の兼元俊徳氏。日本は警察庁から若干名ですが、ICPOに人材も派遣しています」(同前)