「無差別に一般人を攻撃する」ビンラディン式のテロリズム
新しいテロリズムは21世紀の初頭、人類社会の安全にとって主要な脅威となるだろう。その特徴は、戦術レベルの行動をもって当事国に戦略レベルの打撃を与え、震撼させることだ。私たちは本の中で、「ビンラディン式のテロリズムの出現は、いかなる国家の力であれ、それがどんなに強大でも、ルールのないゲームで有利な立場を占めるのは難しいという印象を世間の人に強く与えた」と述べた。また私たちは、「彼らは行動が秘密なために隠蔽性が強く、行為が極端なために広範囲の危害をもたらし、無差別に一般人を攻撃することによって、その異常さ・残忍さを示している。これらはすべて現代のメディアを通じてリアルタイムに、連続的に、高い視聴率で宣伝され、その恐怖の効果を大いに増幅する」という点をとくに指摘した。
しかし、私たちは「狼が来た!」と叫んでいた子供のように扱われてきた。“9・11事件”と同じように不幸だったのは、当時、私たちの話に耳を傾ける人がいなかったことだ。私たちをウソをつく子供扱いしたり、さらには、私たちこそが狼だと後ろ指をさしたり、私たちがテロリズムを宣伝しているという人もいた。ところが、狼は本当に来てしまった。しかも私たちが予言した方式――非職業軍人が、非通常兵器を使って、罪のない市民に対して、非軍事的意義を持つ戦場で、軍事領域の境界や限度を超えた戦争を行う――でやってきたのだ。これこそまさに「超限戦」なのである。
テロ事件の翌日、アメリカ軍人がテレビで語ったこと
報道によれば、“9・11事件”の翌日、アメリカのある3つ星の将軍がテレビの視聴者にこう語った。数年前、中国の2人の将校が『超限戦』という本を書き、全世界、とくにアメリカに対してテロリズムの脅威を警告していたが、われわれの注意を引かなかった。そして、2人が提起した事態は生々しい形でわれわれの眼前で起きてしまった。われわれはあらためてこの本を読み直す必要があるようだ、と。
アメリカ軍人の思想の触覚は、彼らの世界各国の同僚たちに比べれば、かなり敏感であるというべきだろう。『超限戦』が中国で出版されたその年に、その英訳版がペンタゴンの将軍たちの机に置かれていた。さらにアメリカ海軍大学から私たち宛てに、この本を同大学の正式の教材に採用したいので、非商業的な内部版権を譲渡してほしいという書簡が届いた。しかし、すべてはここまでで、彼らは何もしなかった。彼らがこの本が発していた警告を理解していなかったことは、今回の事実が物語っている。
もし3年前に、アメリカ人が今よりもっと真剣にこの本を読んでいたら、“9月11日の悲劇”は必ず避けられたはずだと思うほど、私たちは天真爛漫ではない。この点において、私たちは非常に悲観的である。なぜなら、私たちはビンラディン式のテロリズムへの注意喚起を行っただけでなく、全世界に次のような警告を発していたからだ。