1月8日、イランの首都テヘランで、ウクライナ民間機が撃墜される大事件が起きました。当初、イランは旅客機側の技術的なトラブルだったと主張していましたが、1月11日には一転して「誤射による撃墜」と認めました。

墜落したウクライナ機(2020年1月8日) ©AFLO

  その誤射をしたのは、革命防衛隊航空宇宙軍でした。事件後、現場で撮影された写真に革命防衛隊が保有するロシア製地対空ミサイルの一部が写っていたり、撃墜時に偶然撮影された映像が流出したりしたことで、ごまかしきれなくなったからでしょう。

  しかし、当初ごまかそうとしていたことに、イラン国内でも批判の声が出ています。テヘランの大学では政府批判のデモも発生しました。イランでは2019年11月にも政府批判のデモが発生していて、弾圧の過程で1500人もの参加者が治安部隊に射殺されたといわれていますが、今回はどうなるか注目されています。

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テヘランで行われたウクライナ機墜落抗議デモ(2020年1月11日) ©AFLO

 イランと米国の緊張は、1月3日に米軍がイランの革命防衛隊特殊部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことで、急速に高まっていました。「第三次世界大戦か!?」という声まで聞こえるほど報道も過熱していますが、実際のところ、イランと米国の対立構造は複雑で先行きは不透明です。

 なかでもイランは「大統領と最高指導者がいる」という特殊な権力構造を持ち、紛争の前面に出て来る軍隊も「イスラム革命防衛隊」という国軍とは別の軍事組織となっていて、非常にわかりにくくなっています。

 報道を見ていても、とにかく革命防衛隊ばかりが前面に出てきています。殺されたソレイマニ司令官は革命防衛隊の最高幹部。報復としてイラクの米軍基地をミサイル攻撃したのも革命防衛隊。間違ってウクライナ航空機を撃墜してしまったのも革命防衛隊……。ではこの革命防衛隊とは何者でしょうか?