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国内ではイスラム保守派の独裁を維持するための暴力組織

 他方、イスラム革命防衛隊は兵力が約15万人。内訳は陸軍が十数万人、海軍が2万人、航空宇宙軍の人数は不明。ソレイマニ司令官の「コッズ部隊」は数千人とみられていますが戦闘部隊ではない裏の組織なので、人数ははっきりわかっていません。

 他に、革命防衛隊の中には有志の民兵組織「バシジ」が組織されていて、常備部隊で約10万人いますが、有事にはさらに数十万人の動員が可能とされています。バシジはイラン・イラク戦争時には前線に投入された軍事組織ですが、現在はどちらかというと国内で革命防衛隊の威厳を示す大衆組織のような存在で、反イスラム的な動きを弾圧する圧力団体でもあります。体制を批判するデモが起きた時は、真っ先に弾圧部隊として投入されています。

軍事パレードに参加する民兵組織バシジ(2019年9月22日) ©AFLO

 このように、バシジを含め革命防衛隊は、対外的な軍事組織であると同時に、国内でイスラム保守派の独裁を維持するための暴力組織でもあります。ただし、イラン国内では40年におよぶイスラム革命賛美宣伝が徹底していますので、革命防衛隊は国内では恐れられながらも、社会ステータスが高く、表面上は国内でも人気が高いとされています。ただし、強権支配の体制なので、人々の心の奥は誰にもわかりませんが。

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イラン有数の財閥のような存在でもある

 また、革命防衛隊は核兵器開発、弾道ミサイル開発なども担当しています。密売も含め、兵器の輸出も行っています。さらに、さまざまな傘下企業を持ち、広範囲に経済活動も行っています。石油産業、建設業、金融業、不動産業、運輸業、輸出入業などの基幹産業で特権的な地位を与えられており、いまやイラン有数の財閥のような存在でもあるのです。

 革命防衛隊の傘下企業の代表が、1989年に設立された「ハタム・アルアンビア社」(KAA)です。建設業をメインとして不動産業や石油産業も行う複合企業で、核開発施設の建設を請け負って成長したほか、政府から独占的に数々の大型建設事業を請け負いました。こうした財政面での優遇も含めて、イスラム革命防衛隊はイラン社会では別格的な存在になっています。