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特集観る将棋、読む将棋

2020/01/15

西山さんは、いつもニコニコしている印象だけれど……

 さて、1月5日には奨励会もあった。三段リーグは9、10回戦が行われ、服部慎一郎三段と西山朋佳三段が8勝2敗でトップを走る展開。まだ先は長いけれど、史上初の女性棋士誕生の可能性も十分にありそうだ。

 服部さんには私がタイトル戦で観戦記を書いたときに、記録係を務めてもらったことがある。そのときに「お笑いが大好きで、実はコンビを組んでいるんです」と話していたが、いまも活動しているんだろうか。

 西山さんとは食事の席で、何度かご一緒したことがある。おとなしくていつもニコニコしているような印象だけれど、将棋は蛮にして勇だから不思議なものだ。小島渉さんのインタビュー記事(https://bunshun.jp/articles/-/15060)も面白かった。

現在三段リーグで2位の西山朋佳三段 ©文藝春秋

1月6日、月曜日。

 日本将棋連盟の指し初め式の日。会報には11時開始となっていたので5分前に行ったら、すでに始まっている気配である。そういえばタイトル戦の検分なども、主要な人がそろっていたら時間前でも始めてしまうのが将棋界の慣例だった。すっかり忘れていた。

 ふと見ると、代々木方面から相崎修司さんが小走りでやって来た。わずかながら先にいた私は「遅れるなんてしょうがないやつだ」という顔をした。

 鳩森八幡神社の境内、将棋堂の前は知った顔ばかりだ。少し離れたところには久しぶりに見る顔もいくつかあり、お元気でしたかと心の中で新年の挨拶をする。

 儀式が粛々と進む中、後方の富士塚あたりでは、神社の方が「申し訳ありません。一般の参拝の方は富士塚を登って降りて、通ってください」と案内している。

 どうやらものすごい人数が参拝のために並んでいるようだ。神社の外をぐるりと回って、将棋会館の前まで。正味200メートルくらいだろうか。

将棋会館の向かいにある鳩森八幡神社 ©文藝春秋

 近くにいた谷口由紀女流三段(女流名人戦挑戦、三段昇段おめでとうございます)が「どうしてこんなにたくさんいるか知ってます?」と声をかけてきた。

「テレビでやってましたよね。鳩森神社がすごいパワースポットだって」

「そうなんですよ。私はさっき聞いたんです」

 きっとこういうときは知らないふりをしてネタを引き出したほうが会話が弾むのだろう。しかし、私にはそのような大人の余裕はなかった。実に残念なことであった。

 指し初め式のリレー将棋は、プロ側の木村一基王位が四間飛車に振れば、アマ側は中央に飛車を振ってから5筋と7筋(三間の筋)の歩を伸ばすという欲張りな作戦。新年から景気がよいですな。