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特集観る将棋、読む将棋

2020/01/15

「ちょっとちょっと、動画はNGですよ!」

 その後の宴会は失礼して、渋谷のNHK将棋講座テキスト編集部にて、ここでの仕事始め。終わったあとに内田晶さんと軽く食事に行く。

 渡辺明三冠の軽井沢カーリングにも参加していた内田さん。「取材で来ていたスポニチの伊藤さんが、プレイしている様子を動画で撮ってたんですよ。そうしたら渡辺さんが『ちょっとちょっと、動画はNGですよ!』って」

「なるほど。静止画ならごまかせるけど、動いてるとヘボがばれるからねぇ」

「まさにそう。でもアップされたものを見ると、なかなか様になってて、まあいいかって(笑)」

 内田さんは翌日に、王位リーグ入りを懸けた渡辺三冠-佐々木大地五段戦の観戦記だという。もしかしたら棋王戦五番勝負でぶつかっていたかもしれない両者。楽しみな一番だ。

渡辺明三冠がストーンを投じる

 指し初め式が終わると、年末年始も終わりという実感がわく。私は例年通りに原稿に追われていたが、それではあまりにも寂しいと思い、友人がオススメと言っていたニンテンドースイッチの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を買ってやってみた。

 久しぶりのゲームということもあり、私のリンク(主人公)は実によく死んだ。歩いては死に、食べ物を調達できずに死に、不意打ちを食らって死に、ビームで死に、高い塔から落ちて死に、ガケで足を滑らせて死に、湖でもがんばりが足りずにおぼれて死んだ。画面の端に次のリンクが見切れるくらい、たくさん死んだ。

 もしかしたらコントローラーに触れなくても、電源を入れなくても死ぬかもしれない。目に見える死はほんの一部なのだ。ゲーム自体はとても面白かった。

 年明けに、ローレンス・ブロックの小説『八百万の死にざま』を読んだ。ちびちびと昼からお酒を飲みながら元刑事のアル中探偵の話を読むのは、なかなかにして乙なものだった。

1月7日、火曜日。

 竜王戦1組の屋敷伸之九段-久保利明九段。読売新聞に掲載される観戦記は大川慎太郎さん。中継は紋蛇記者が担当。

 この将棋は振り飛車の楽しさがいっぱいに詰まっていた。40手目、次の△3三銀を見越した△4五桂はたまらない味。振り飛車党は盤に並べて、素振り100回すべし。

 この手の棋譜コメントは、派手な王手飛車の変化を紹介したあとに「千駄ヶ谷は小雨が降ってきた」とトーンダウンする味のある展開だった。まず実現しない架空の変化と、ほとんど影響はないけれど確かな現実である小雨。

 王位リーグ入りの一番、渡辺-佐々木大戦は佐々木さんの快勝。えらいもんだ。勝てない相手ではない、そう思って勇気が出た人もいるかもしれない。王将戦、棋王戦が面白くなってきた。

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