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帰宅後、三男を襲った異変
しかし、家に到着し、落ち着いたところで、長女が末っ子の三男の異変に気がつきました。
先ほどまで元気だった三男が息をしていないのです。すぐに村の大人を呼びましたが、時すでに遅く、息を吹き返す事はありませんでした……。
きょうだいは悲しみにくれましたが、皮肉な事に、三男が亡くなった事によって残りの全員はその後も、なんとか生きぬくことができたようです。
「もしかしたらお母さんが私たちを不憫に思い、一番手のかかる三男を連れて行ってくれたのかもしれない……」
祖母のくに子は、涙ながらにそう語ってくれました。
そして先日、私は実際にその場所を訪ねました。祖母たちが不思議な出来事を体験したのは、鳥取県にある橋津海岸という場所です。
海の中の岩場に立つ鳥居がどこか恐ろしく、そして神秘的な海岸でした。
70年ほど前に、祖母がきょうだいとともにすがる様な気持ちでこの場所にいた事を考えると、心を打たれました。そして、この出来事がなければ、もしかしたら私もこの世には存在していなかったかもしれない……そう思うと、鳥居に向かって手を合わさずにはいられませんでした。祖母と曾祖母、そして亡くなった赤子の3人が、私の心のなかに浮かびました。