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「二十歳すぎると時の流れがほんと早いから」 朝日、読売、産経、東京の成人式社説はどう“激励”した?

「おじさんはすでに成人している」という謎の絶対優位

2020/01/17

genre : ニュース, 社会

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 新聞ウォッチャーにとって今年もたまらない日がやってきた。「成人の日」です。

 新聞を擬人化すればゴリゴリのおじさん。そんなおじさんが新成人にメッセージをおくる。もう危険な香りしかしない。「おじさんはすでに成人している」という謎の絶対優位が発生するのが「成人の日」なのである。

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 今年はどんな激励があったのか。まずは東京新聞の一面コラム「筆洗」

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《成人の日である。門出に説教じみてしまうが、二十代が一生に最も大きな影響を与える時期だとすれば、その季節を大切に過ごしていただきたい》

 説教じみてしまうと言いながらやっぱり言っちゃう。

 締めはこれ。《これだけは覚えておいた方がいい。二十歳すぎると時の流れがほんと早いから。》

 ああ、もうグチだこれ。

 次は朝日の社説をみてみよう。

朝日の伝統芸は「若者に社会参加を促す」

「社説 成人の日に 社会は動く、動かせる」

 朝日の成人の日社説といえば「若者に社会参加を促す」のが伝統芸だ。

 2012年の「尾崎豊を知っているか」は最高だった。

《ああ、またオヤジの「居酒屋若者論」か、などと言わずに、聞いてほしい。キミが生まれた20年前、ロック歌手・尾崎豊が死んだ。》

2012年1月9日朝日新聞「尾崎豊を知っているか」

 いきなり新成人に絡みだし、

《彼が「卒業」「15の夜」といった曲で歌ったのは、大人や社会への反発、不信、抵抗。恵まれていないわけじゃないのに、「ここではない、どこか」を探し、ぶつかり、傷つく。その心象が、若者の共感を呼んだ。》

 最後まで酔っぱらっていた。

 あれから8年後、今回の朝日社説は、

《入試や就活で、大人は若者に「主体性」を求める。ならば、その前から自分で歩く力をつけてもらうために、歯がゆさをこらえ、見守る。成人の日を、大人の側がそんなことを確かめ合う機会にしてはどうだろう。》

 大人の側にダメ出しを始めた。「成人の日」におじさんがおじさんに説教し始めたのである。考えてみればいつもの社説ではないか。