昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ヒカキンの長時間労働から考える「ブラック企業」問題

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

完成度をどんどん高めてしまう日本の「大企業病」

おぐら 求められる完成度がどんどん高くなってしまうってことですかね? ドラマでいえば視聴者、ほかの商品やサービスでいえばユーザーなど、受け手の目は肥えていくでしょうから。

速水 それもあるだろうけど、日本人の生真面目さみたいなものがそうしてしまうのかも。

おぐら ギャルと新聞の話をしたときに「ってか、毎日毎日よくこんな書くことあるね」と言っていて、それ本質だなって思ったんですよ。「せめて裏表1枚の紙でよくね」って。

©杉山秀樹/文藝春秋

速水 まさにそれだ! テレビのワイドショーとか見ていても、明らかに伝えることがない日ってあるよね。でも放送をやめるわけにはいかないから、埋めるためにダラダラ同じことずっとやってるだけで。

おぐら 無駄なページとかもたくさんあるじゃないですか。雑誌もそうですけど。

速水 まあね。でも、新聞で一度増やしたページ数を減らすって、もうそれこそ構造的に難しいんだと思う。人員も増やしているわけだし、価格も下げなければいけないわけだし。

おぐら 読者だって、簡単に賛成とは言わないでしょうし。

速水 一度決めたことは、なかなか戻せないし、ひっくり返らないんだよね。特に会社って大きくなってしまうと、いちいちルールを変えるだけでも一苦労というか。

おぐら 大企業病。

©杉山秀樹/文藝春秋

「何かをやめるのすら一苦労」がブラックの温床

速水 知り合いの会社は、社内でメールする場合に相手の役職を入れるのをやめるというルールを決めたんだって。代わりに、役職のアルファベットの省略形を名前のあとに付けるようにしたんだけど、今度はその省略形を決めたものをガイドブックにして配ったりして、手間が増えた。

おぐら 社内には一生メールしたくなくなりますね。

速水 何かをやめるのすら一苦労。そんなこんなの積み重ねが、日本のブラックな労働環境を生み出している気がする。って、本来話さないといけないはずの、フランスと韓国の大統領選について、なにも話してないや。このまま次回分も収録しちゃおうか?

おぐら いや、そろそろ19時なので担当編集が時間外勤務になるのでやめましょう。原稿料から残業代を引いてもいいなら続けますけど、どうします?

速水 うん、やめよう。

おぐら ですね。良いコンテンツを作るよりも、残業しないことのほうが大切ですから。

はやみずけんろう/1973年生まれ。ライター。TOKYO FM『速水健朗のクロノス・フライデー』(毎週金曜日朝6:00~9:00)、同局『TIME LINE』(第1・3・5火曜日19:00~19:54)、フジテレビ・ホウドウキョク『あしたのコンパス』、日本テレビ『シューイチ』などに出演中。近著に『東京β』(筑摩書房)、『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』(朝日新書)などがある。

おぐらりゅうじ/1980年生まれ。埼玉県出身。フリーの編集者として雑誌『テレビブロス』ほか、書籍や演劇・映画のパンフレット等を手がけている。企画監修を務めた、テレビ東京の番組『ゴッドタン』の放送10周年記念本『「ゴッドタン」完全読本』が発売中。

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z