Q 亀山さんが人脈を広げるためにやっていることは?
上司によく「色々な人に会え。仕事を助けてくれるのは、最後は人脈だ」と言われます。DMMはいろいろな分野のお仕事を幅広くやっているから、いろいろな分野に「顔」が利くのではないでしょうか。亀山さんがこの人と一緒に仕事をやってみたいなと思うのはどういう人ですか。また、人脈を広げるためにやってきたことがあれば教えてください。(30代・男・会社員)
A 俺は50歳まで人脈はほとんどない、引きこもり経営者だったんだ。
たぶん君の上司は営業職なんだろうけど、俺の場合は客商売が多かったから、飲食だと良い接客を、ECだと良いサービスを作ってさえいれば何とかなった。DVDの卸問屋を始めたときでも、委託やPOSレジなどの効率の良いシステムを作って、どちらかというと人脈にほとんど頼らないでやってきたんだ。
俺は接待するのもされるのも大の苦手でね。だから、飲みの場は社員に引き受けてもらって、会社にこもってなるべく目立たずコソコソ生きてきた。
そんなコミュ障の俺のせいで、「DMMは謎の会社だ。怖い」とか「人前に出ないトップはヤクザに違いない」とか言われるようになってね(笑)。仕方なくインタビューに答えたり、イベントに出掛けて人に会ったりしたんだよ。だから、俺の人脈のほとんどがここ数年くらいの短い付き合いなんだ。
がんばって名刺交換はしてみたものの机に入れっぱなしだし、人の顔も覚えられない。だから今は、会った人とFacebookで繋がるようにしてる。Facebookが便利なのは過去のやり取りや顔が分かるのと、共通の友達で相手も自分も信用が担保しやすいことだね。
五十の手習いでいろんな所に行くようになって思ったのは、パーティーとかの常連で「俺は顔が広い」とか「誰々に顔が利く」とか自慢する人に限って、意外と仕事ができず人から信用されていないってこと。
人脈はあるに越したことはないけど、それだけだと単なる知り合いだし、仕事でも紹介者で終わるのがオチだよね。結局のところ、自分が信用される仕事ができないと、あまり人脈は意味がないってこと。だから、まずは自分の仕事力をしっかりと育てることだと思う。
もちろん、いろんな人に会って世界を広げるのはいいと思うよ。だけど、仕事のためだけに“人脈作り”をしてると、どうしてもその人が「価値のある人」か「価値のない人」かと値踏みをしてしまう。そんな打算的な関係がいざという時に君を助けてくれるかは疑問だね。だって君のいざという時は、相手から見たら「君の価値が低い時」だからね。
そんな薄い関係を増やすのに時間を費やすより、一つひとつの出会いを丁寧に育てた方がいいんじゃないかな。職場なら上司だけじゃなく同僚や部下。日常なら、友人だったり、近所の人だったり、よく行く店の店員だったりね。
俺は顔が広い人より、そんな身近な関係を大事にしてる人のほうが信用できるし、一緒に仕事もしたくなる。だって、仕事をするってことは身近になるってことだからね。