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最後の作品は「焼肉小説」?
――次のご予定は。今後、どんな小説を書いていきたいですか。
川越 鄭成功の時代の東シナ海の話を「オール讀物」で一編ずつ載せてもらうので、それが今年中に刊行できれば、と思っています。
最終的に突き詰めたいのは、なぜ日本が昭和20年8月15日を迎えたのかということなんです。一番最後は焼肉小説を書くと宣言してしまっているので、最後のひとつ前はそれを書きたいですね。
――焼肉小説とは?(笑)
川越 松本清張賞の表彰式のスピーチで、だらだら喋ってしまって。僕は焼肉という言葉が好きなんですが、好きなものに関してはその経緯から考えてしまうところがあるんです。焼肉はもともと朝鮮半島に原型があって、それが日本式になって、タレとか材料とかはまた全然違う国の原産のものを使っていて……ということをスピーチでだらだらと喋って、「最後に僕は焼肉を書きます」みたいなことを言ってしまいました。みなさんバカだと思っていると思うんですけれど(笑)。
――まあ、焼肉小説が読めるのは、まだまだ先になりますね。
川越 そうですね。僕もちょっと作家としてスキルを上げていきたいので、その時には充分な焼肉を書けるようになっていたいです(笑)。
写真=松本輝一/文藝春秋