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「そのうちに、結婚したことがバレた」

パパ そこからまた、どっちつかずで1年半くらい引っ張られた。

美咲 そのうちに、同棲してた人と結婚したことがバレた。

パパ さすがにそれを知った時は別れ話をしたけど、いや、ちょっと待ってくれと。それなら次の家賃の更新日までは待とうかと伝えたら、その翌週くらいにLINEが来て、「私どこにいると思う? 北欧」。おまえ、それ新婚旅行じゃねえかって。よくも俺に連絡してきて。

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美咲 頭おかしかったよ。まあ言い訳にしか聞こえないかもしれないけど、別にそのときの旦那さんと二人で旅行に行きたいというよりは、普通に旅行に行きたかった。

パパ それも壮大なるパパ活じゃない? 今思うと。結婚式させて、旅行も行かせて。

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パパと一緒に離婚届を提出

――それで半年ほどで離婚、と。

美咲 その旅行で再確認したんです、前の旦那はよくも悪くも普通というか、つまらないと。じゃあ離婚まで持っていかなきゃいけない。そこからは頑張ったね。

パパ 頑張ったっていうか……そこからもごちゃごちゃ言ってたし。さすがに俺もついていけないから、一緒に仕事している友達に全部話して、3人で会うことになって。その友達がこの子に「いい加減はっきりしてくれ、一番迷惑かかってるのは全然関係ない僕だ」と伝えて、その言葉でようやく目が覚めてね。

美咲 目が覚めましたよ。私、人に迷惑かけてるんだって。

パパ かけてるよ!

美咲 こんなに全然関係ない人が私のことで迷惑して、私のことを気にかけたり怒りを感じたりしてるということに人生で初めて気づいて。

パパ 男たぶらかして色々してもらっても、人に迷惑かけてる自覚がなかったんですよ。その日まで。

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美咲 主人とこの友達くらいですよ。私が人に心配されてると思えたのは。自分の生活の大半をかけて心配してもらったことって、初めてだったんですよ。

パパ こんなに女に金かけたこともないよ。

美咲 そこで、前の家を出てね。キャリーケース一つで。一緒に暮らし始めた。

パパ 離婚届も一緒に出しに行った。信用できなかったから。

美咲 嘘はそれまでに全部吐いたんだけど。ただ最後、もう今から家出ますって時に、私はあなたにまだ一つだけ大きな嘘をついてると。

パパ そうそう、何!? って。俺、子供でもいるのかと思って。

美咲 そしたら、立教と偽ってたのが、全然知らない大学だったという話。

パパ ほっとしたね。まだ何か出てくるのかと思ったら、なんだこんなことかと。

後編に続く

出典:「文藝春秋」1月号

「文藝春秋」1月号および「文藝春秋 電子版」では、「2020年の『パパ活女子』 援助交際と何が違う?」と題し、パパ活当事者の男女の生々しい証言などを取材したルポを掲載している。記事からは、パパ活という曖昧な「流行語」が生み出した男女の関係が、そして援助交際など既存の言葉との違いが見えてくるはずだ。