齢84。俳優人生65年の仲代達矢さんが、ふたつの「老い」を魅せる。ひとつは時代劇専門チャンネルが製作した藤沢周平原作のオリジナル時代劇『果し合い』。江戸時代、老境の武士が若者のために果し合いに挑む物語だ。この作品は4月に開かれたテレビ界の国際的権威「ニューヨーク・フェスティバル」最高賞となる金賞を受賞した。
「派手なチャンバラではなく、人間の心を描いた静かな作品。海外で認められるとは想像もしませんでしたから、受賞の報せに皆で喜びましたよ」
他方、6月3日から全国公開する映画『海辺のリア』では、80を超え認知症気味となりながらも滑稽さや凄みをみせる老俳優を演じている。
「監督の小林政広からオリジナル脚本が届きました。読めば私が過去に喋ったような言葉があちこちに。だから主人公・桑畑兆吉の存在を借りて自己暴露した作品でもあります。兆吉は思い出はいらない、お客様の心の中で生きられれば幸せと言う。アラン・ドロンさんは『キャリアは終わった』と俳優を引退されましたね。私はどうでしょう――。キャリアが終わるとき人生も終わる、そうありたいですね」
金賞受賞記念『果し合い』無料放送
6月1日21時より時代劇専門チャンネルと日本映画専門チャンネルにて
https://www.nihon-eiga.com/
『海辺のリア』
6月3日より全国公開
http://www.umibenolear.com/