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2020/01/21

genre : ニュース, 社会

JRのローカル線でトイレがないのは……

 また、駅間距離が長く無人駅も多いローカル線でもトイレは当たり前の設備。それに関してちょっとしたエピソードがある。中国地方を中心に運行されているJR西日本のキハ120形と呼ばれるディーゼルカーは、もともとトイレを設置していなかった。1993年に木次線と三江線(今は廃止)でデビューした車両なのだが、それまではあったトイレがなくなったことで利用者が途方に暮れてしまったという。木次線を例にとると、宍道駅から備後落合駅まで全区間の所要時間は約3時間。途中には駅間10分を上回る区間がいくつもある(出雲坂根〜三井野原間に至っては18分もかかる)から、利用者が困る気持ちもよくわかる。それで沿線自治体などがJR西日本に要望し、2005年以降トイレ設置の改修工事が行われたのだ。同様に、JR東海の中央線で使われている211系も当初トイレがなく、苦情が寄せられたという。

島根県松江市の宍道駅から広島県庄原市の備後落合駅に至る木次線。利用者からの要望でディーゼルカー(キハ120形)にトイレが設置された

 現在、JRのローカル線でトイレがないのはJR四国の予土線キハ54形くらい(同じ形式でもJR北海道の車両にはトイレがある)。予土線も随分長い距離を走る路線だからトイレがないのは致命的な気もするが、数年前に乗ったときにはお客が途中の駅で運転士さんに頼み込んで駅のトイレを使っていた。こうした柔軟性でトイレなし長距離列車が成立しているのだろう。

高知県高岡郡四万十町の若井駅から愛媛県宇和島市の北宇和島駅に至る予土線。こちらはトイレがない……

中央線の4号車ユーザーは要チェック

 こうして見てきたが、そもそもトイレがない車両というのは大都市圏の通勤路線ならではの、むしろ例外的な存在なのである。JR西日本に聞いても、大阪環状線の323系にもトイレはないという。駅間距離が短くすぐに次の駅に着くから問題ないという判断なのだ。

大阪環状線の323系。こちらもトイレはなし

 そして中央線のトイレ問題。もちろん、次の駅まで待てないような緊急事態もないとは言えない。体調が急に悪化してしまうこともあるだろう。とはいえ、ただでさえ激しい混雑に苦しんでいるところにトイレがさらにスペースを取るとなると、嫌だなあと素直に感じる人も多かろう。毎日のように乗っている路線であればだいたい乗る車両は決まっているもの。中央線の4号車付近を利用しているみなさま、これからは“トイレ”に要注意である。

写真=鼠入昌史

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