「お前の娘は預かった」。愛する娘の誘拐事件を発端に、数々の謎が生まれていくサスペンスドラマ『10の秘密』(カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜9時から放送中)
 皆がそれぞれに抱える“秘密”が暴かれていくなかで、14歳の娘を一人で育てるシングルファーザー・白河圭太を演じるのは今年38歳を迎える俳優・向井理さん。実生活では2児の父でもある向井さんに「親子」について、聞きました。

(全2回の1回目/#2へ続く)

現在、ドラマ『10の秘密』で主演を務める、俳優の向井理さん

◆◆◆

ADVERTISEMENT

いつかかってくるかわからない電話を待ち続けるような台本

――『10の秘密』は登場人物が皆、秘密を抱えており、続きが気になって仕方のないドラマです。脚本を読まれたときはどんな感想を持ちましたか?

向井 とにかく秘密が多すぎて(笑)。現段階では、僕も結末を知らないんです。演じる側としては、どういう心境なのか計りかねるところもあって難しいですね。

 僕以上に元妻役の仲間由紀恵さんのほうが謎が多いので、「大変ですね」と言ったら、笑ってました。とくに1~2話は、敵味方が反転するようなことが繰り返されるので、全貌が全く見えないですよね。

――謎だらけの物語のなか、どんなふうに役に取り組まれたのですか?

向井 圭太は周囲に振り回される役なので、役作りは特別いらないと思っていました。その場その場で起こる出来事に、あえて即物的にリアクションすることを積み重ねれば、自然に人物が出来上がるのかなと思います。

 

 僕は、仕掛けるより、リアクションのお芝居のほうが好きなんです。先の読めないサスペンス。いつかかってくるかわからない電話を待ち続けるような台本なので、何か起きたらすぐに対応できる態勢は整えておくように心がけていました。

わかりやすい演技はしないように

――娘が誘拐されるところから物語は始まります。圭太にとって一番大切な存在がさらわれるなんて、パニックになりそうな事態です。

向井 そうですね。圭太は、30代にして、すでに希望が娘しかないような男。僕にも子どもがいるのでその怖さは想像がつきます。ただ、誘拐されたことがわかった場面も、わかりやすく驚きはしませんでした。

 人って、衝撃的なことが身に起きると、硬直状態になると思うんです。わっと騒ぐのはまだ余裕がある状態なんじゃないか。たとえばいま、目の前にいきなり雷が落ちたら、何が起きたのかわからず、ただ凝視すると思います。ましてや、人の生死に関わるような出来事だったら、「理解したくない」という思いが先に働いて、感情がストップしてしまうのではないか。だから、ドタバタするようなわかりやすい演技はしないようにしました。

 

――シングルファーザーという役柄はいかがですか? 

向井 今回、シングルファーザーは初めて演じました。娘の瞳(山田杏奈)は14歳という設定。反抗期の場面とか出てきたらちょっと嫌だなあと思っています(笑)。