膀胱がんを早期で見つけることが難しいのは“女性”
他の多くのがんと同様、膀胱がんも早期で見つけられれば、タイプにもよるが治療成績はいい。国立がん研究センターの集計による5年生存率を見ると、男性は78.9%で女性は66.8%。女性の成績が悪い理由を、岩佐医師が分析する。
「先にも触れたように、女性は生理による出血があるので、血尿に気付いてもすぐに病気を疑わない傾向にある。また、医療機関を受診するにしても、最初から泌尿器科に行く女性は少なく、多くは婦人科に相談する。その結果、膀胱炎を疑ってしばらく治療を行い、それでも治らないのでようやく『一度泌尿器科に診てもらっては?』という流れになることが多い。そのため、病気発見までに時間がかかるのです」
岩佐医師はこうも言う。
「婦人科でも尿の細胞診検査は行いますが、そこで“陰性”となると、一旦はがんの可能性が排除されてしまう。でも、実際にはがんがあっても陰性になることは珍しくない。最初から泌尿器科に来てくれていたら、と悔やむことはありますね」
男も女も、「血尿が出たら泌尿器科」と考えておいたほうがよさそうだ。
近年増えている「血尿を見つけづらくする環境の変化」
本来、血尿に気付きやすいのは男性だ。それは、尿を直接見やすい姿勢で排尿するから。
しかし近年、「しぶきが跳ねて床が汚れる」などの理由から、“座尿男子(座って排尿する男子)”も激増中だ。こうなると尿の色を確認しづらくなる。
もう一つ、やはり近年増えている「血尿を見つけづらくする環境の変化」がある。それは「便器のカラフル化」だ。
「白い便器にワインレッドの尿が当たれば一目瞭然ですが、最近はワインレッドの便器もある。それ以外にも青い便器に黄色い便器と、汚れが目立たず、しかも見た目におしゃれな色の便器が増えたことで、血尿に気付きにくくなっているのは事実です。その分、駅や会社のトイレで気付くケースが増えています」
これから家を建てる皆さんは、少し掃除が大変かもしれませんが、便器は「白」がよろしいようで。