Q 病身で家族に迷惑ばかり。ありがとうの気持ちをどう伝えればいい?

 50代の専業主婦です。私は実母の介護を終えてから、すべり台をくだるように身体の具合が悪くなり、それからうつ病になり、家から殆ど出られなくなりました。高校生の息子、自立した息子、主人がいますが、皆に迷惑をかけていると思います。特に主人は仕事も朝早く出勤して、私が具合悪い日は早々に帰り家で仕事しています。医療費もなんとかやってきましたが、家族にすまないと思って胸が痛いです。どうしたらありがとうの気持ちを伝えられるでしょうか? よろしくお願いします。(50代・女性)

A 「家族は順番に迷惑をかけていいのよ」

 ボクは高校の頃、とある事情で学校に親が呼ばれる事態に陥ったことがあります。そして母親の前でこっぴどく担任教師に叱られたことがあります。母も一緒に頭を下げてくれました。帰りの目蒲線で母と二人、何も話さずに揺られていたあの気まずさは今でも昨日の事のように覚えています。目蒲線が急ブレーキをかけた時につり革を強く握り直した母が「ラーメンでも食べて行こうか」と言いました。途中の駅で下車して見つけた中華料理屋は、それはそれは古い感じの佇まいでした。醤油ラーメンをすすりながら、我ながら情けなくなってどんぶりに向かって、「ごめんなさい」と母に謝罪しました。母は何も言わず、ずっとラーメンをすする音だけが聞こえます。さすがにボクは気になって母の方を覗くと、「家族は順番に迷惑をかけていいのよ」と、これまたラーメンのどんぶりに向かったまま言いました。店内にはTBSラジオがかかっていたはずです。夏の暑い日で、蝉も鳴いていたような気がします。

 あれから月日が流れて、母は今、通院しながら抗がん剤の治療中です。ボクはなるべく時間をみつけて実家に寄るようにしています。何てことはない近所のビルの建て替えの話をしたり、相撲を一緒にテレビで観戦したりしています。先日、明らかに徹夜明けの顔で実家に戻りました。夏のイベントなどの仕事の仕込みで、徹夜の日が何日か続いていたからです。買ってきた冷凍の鍋焼きうどんを二つ火にかけていると、ベッドに寝ていた母が「忙しいのにごめんね」なんて声をかけてきたんです。その時に昔、母が言ったあの言葉を、ボクは思い出していました。「家族は順番に迷惑をかけていいのよ」っていうあの言葉を。母にはただ「なにいってんの」としか言いませんでしたが。ご質問の内容から察するに今相当キツい状態かと思います。どうかお身体、ご自愛ください。これはボクの言葉ではありますが、きっとあなたの家族の総意です。体調が回復した暁には、家族の方々にあなたのその気遣いの気持ちをいくらでも形にするチャンスは訪れます。今は感謝と共に、その愛に甘えてください。だって家族は順番に迷惑をかけていいんですから。

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