ポーランド人映画監督 アンジェイ・ワイダ氏 ©Kazuko Wakayama

 昨年10月に90歳で亡くなったポーランド人映画監督アンジェイ・ワイダの遺作となる『残像』が公開される。

 生涯にわたり祖国ポーランドとその人間をテーマにし、『地下水道』(56)でカンヌ国際映画祭審査員特別賞、『鉄の男』(81)ではパルムドールに輝いた監督が最後に描いたのは、第二次大戦後、ソ連の影響下で社会主義へと呑みこまれるなか芸術活動を続けた前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ晩年の姿。本作完成後の昨年初夏、監督は次のように語っている。

「1人の人間がどのように国家に抵抗するのか。表現の自由を得るために、どれだけの代償を払わねばならないのか。全体主義のなか、個人はどのような選択を迫られるのか。これらの問題は、今、ふたたびゆっくりと私たちを苦しめ始めています。どのような答えを出すべきか、私たちは既に知っている。そのことを忘れてはならないのです」

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 11月下旬開催のポーランド映画祭2017では監督の作品が追悼上映される。また岩波ホールでは親日家だった監督の日本への思いと次回作への意欲を示していたインタビューも特別上映される。

INFORMATION

映画『残像』
6月10日より全国順次公開
特別上映『ワイダ監督は語る』は、岩波ホールで『残像』公開期間中の平日18時から上映
https://www.iwanami-hall.com