1ページ目から読む
3/3ページ目

 その中でも、特に「節操がない」と批判的に受け止められているのが、曺被告の疑惑への関与が取り沙汰された予備候補だ。

 その代表例が、先述の大統領府国政企画状況室長を辞めた尹建永氏だ。彼は柳在洙(ユ・ジェス)前釜山副市長(収賄罪などで起訴)による業者からの金品受け取り事件で監察をもみ消した疑惑で、検察から調査を受けた。

 また、大統領府による蔚山(ウルサン)市長選挙介入疑惑に関与した疑いが出た宋炳琪(ソン・ビョンギ)前蔚山副市長、黄雲夏(ファン・ウンハ)前蔚山地方警察庁長官も総選挙に出馬する意向だ。

ADVERTISEMENT

 公職の経験を“箔付け”に利用する候補の中でも、大統領府で文在寅大統領と過ごした候補はまさに「文在寅チルドレン」という表現がぴったりだ。

総選挙に向けて手を打つ文在寅大統領 ©AFLO

日韓関係の展望は?

 いま、総選挙に向け政権与党を勢いづける動きもある。

 今月14日に首相を辞任した李洛淵(イ・ナギョン)氏が、総選挙にソウル中心部の鍾路区から出馬する意思を表明し、「共に民主党」の選挙対策委員長への就任も受け入れたのだ。

 鍾路区はこれまで、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)両元大統領ら大物を総選挙で輩出してきた選挙区として知られる。さらに今回は、保守系最大野党、自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表の出馬も取り沙汰されている。

 李洛淵氏も黄教安氏も2年後の次期大統領選の有力候補なのだが、支持では李洛淵氏が相当リードしている。李洛淵氏が大統領選をも視野に入れていることは当然視されており、今回の出馬宣言は黄教安氏への挑戦状と受け止められている。並々ならぬ自信に、保守派は衝撃を隠せない様子だ。

 検察が露骨な大規模人事により骨抜き状態にされた今、韓国は思うままに事を進めてきた文在寅政権が描いたシナリオ通りに、選挙の季節を迎えている。与党が勝利した場合の対日関係は不透明だが、少なくとも劇的な日韓関係改善は展望できそうにないだろう。