文春オンライン

2020/01/28

 海上自衛隊では、長期間の任務ではインフルエンザ防止のためにタミフルの予防投与を行い、効果があったと聞いたことがある。ところが、今次のコロナウイルスは予防手段が確立されていない。中国公船の尖閣諸島周辺領海への侵入や、中国空軍機の日本領空への侵犯の頻度が減少するか注目されるところだ。

安倍政権が取り組むべき5つの課題とは?

 次に日本の対応であるが、安倍政権としては5つの喫緊の課題が浮上することになる。第一は新型肺炎感染拡大の阻止、第二は中国への渡航禁止の検討と在留邦人の退避、第三は習近平の訪日、第四はオリンピックの開催、第五は春節などで日本を訪れた中国人が長期滞留する事態である。

 第一の新型肺炎感染拡大の阻止については、手始めに安倍首相が28日に新型コロナウイルスを感染症法上の「指定感染症等」に指定することを閣議決定した。これにより、感染者に対し、入院措置や公費による適切な医療が可能となる。

安倍晋三首相 ©JMPA

 第二の在留邦人の退避については、700人超の武漢市在留者が優先されよう。政府は、新型肺炎拡大で邦人の武漢退避に臨時便を出し、帰国支援を行うという。また、中国への渡航禁止については、外交的に微妙な問題であるが、在留邦人の退避が実施されれば実質的・自動的に禁止に向かうだろう。

 第三の習近平の訪日については、もともと国賓待遇での受け入れに反対する向きも多かった。だが新型肺炎感染拡大により、習近平としてはそれどころではなくなり、自ら辞退せざるを得ない羽目になるだろう。

 第四のオリンピックは、夏季に実施されるので、一般論としては高温・高湿のため、ウイルスの飛散・活性化は低下し、開催の支障にはならない可能性があると思われるが、楽観はできない。

 第五は春節などで日本を訪れた中国人が長期滞留する事態にどう対応するかだ。「難民の地位に関する条約」には疫病による難民の規定はないが、中国人が長期滞留する事態は人道上の問題として、いかに対処するか判断に悩むところだろう。また、その中に感染患者が多数発生すれば、その扱いにも苦慮するところだろう。

SARS対処で得られた知見を活用せよ

 私は、日本の新型肺炎全般の対処方針としては、「官民を挙げて、防疫だけに目を向けるのではなく、政治・軍事・外交・経済など様々な観点から分析・評価し、それに応じた『備え(対応策)』を先行的に行うこと」を提起したい。

中国からの到着客への検疫を強化した成田空港 ©AFLO

 敵の侵攻などのリスクマネジメントにおいては、「最悪の事態」を想定する必要がある。そこをベースにすれば、それよりも軽度のリスクに対応するのは容易である。

 そこで、日本政府がとるべき新型肺炎感染への対処方針の骨子は次の通りと思う。