で、親に認めてほしいの? 結婚したいの?
さて、「コントロール可能なもの・不可能なもの」を切り分けてきましたが、メイコさんの願いをそもそも振り返ってみましょう。
相談内容を見ていると、メイコさんのマインドシェアは「親>>>婚約者」となっており、親中心の考えになっています。「親に認めてもらう結婚をしたい」「円満に結婚したい」が最初にきており、「彼が気に入られる人になってくれればいいのに」「彼の甘さが気になる」「親に認めてもらえる同僚が羨ましい」と、すべての考えが「親に認めてもらいたい」に引きずられています。「親が反対すると失敗するというインターネット言説」や「不幸になる」という親の言葉なども「親に認めてほしいから、彼らを捨てきれない」というメイコさんの願いを補強するための言い訳として使われています。
メイコさんの望みはなんでしょうか? 親に認めてもらいたいのでしょうか? それとも自分の人生における伴侶が欲しいのでしょうか?
すでに見てきたとおり、「親に認めてもらう」×「今の彼と円満に結婚」のダブル成就は不可能です。親の性格も彼のキャリア観もメイコさんのコントロール外のもので、かつ両者は相いれないからです。
メイコさんはこれまでこの部分で「彼が変わるかも」「親が変わるかも」と完全に他力本願になって「自分の望みが両方叶うかも」と期待していたのでしょうが、「両者の両立はできず、どちらかを選ばなければならない」という前提で、もういちど自分の目の前にある選択肢について考え直してみてください。質問は以下のとおりです。
メイコさんの望みはなんでしょうか? 親に認めてもらいたいのでしょうか? それとも自分の人生における伴侶が欲しいのでしょうか? どちらか1つを選ばなければなりません。どちらを選びますか?
支配される人生か、支配から逃れる人生か
言うまでもなく、これは非常に大きな決断です。自分の人生において大きな存在のどちらかを選ばなければならないのですから。
それ以上に、この決断はメイコさんの人生を大きく揺るがすほどの決断です。この決断は「親か彼か」を選ぶと同時に「他人に支配される人生か、支配から逃れる人生か」を選ぶ決断でもあるからです。
たとえ、親が気に入る人と結婚したとしても、「メイコさんの人生の決断や意思決定に口出しをして、自分の思いどおりに支配しようとする」親の性格は1ミリも変わらない、どころかむしろ強化されます。人間は年を取ると頑固になっていくものですが、妖怪はさらなる大妖怪に進化して、人の言葉がどんどん通じなくなっていきます。ほぼ1億%子育てに口出しし、婚約者の親に難癖をつけ、「生まれた環境が悪い」「遺伝子が悪い」と難癖をつけ、暇さえあれば電話をしてきて、話を聞かなければ「なんで私の言うことを聞かないの!!!」と怒鳴って泣きわめいて言うことを聞かせようとするでしょう。なぜわかるかって? うちの親とその親戚がそうだったからです。
支配する人間の言うとおりにすると、ずっと支配され続けます。メイコさんは「もううんざりだ」と書いていますが、これがもっと続きます。
一方で、親と絶縁すると支配からは逃れられます。しかし、自分のことは自分で決めなくてはなりません。メイコさんがストレスに感じているのはおそらくこの「自分で決断し、自分の決定に自分で責任を持つ」ことではないでしょうか。
なぜなら、支配されるのはうんざりしますが、楽だからです。意思決定時にかかるストレスから逃れられるし、たとえ失敗しても「私は決めてないし。あっちのせいだし」と他人のせいにして、自分が失敗したと思わなくてすむからです。