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ストレスから解放されたい=親を満足させなければ

 メイコさんは自分で思っている以上に、親に支配されています。意思決定と思考回路のすみずみに親の影響が見て取れます。たとえばストレス・マネジメントの方法です。

 メイコさんにはいまとてつもないストレスがかかっていると思います。親からは支配的な要求を突きつけられるストレス、叶えないと泣き叫ばれるストレス、激務のストレス、意思決定をしなければならないストレス……こんなストレスまみれの生活から逃れたいと思うことは当然です。生物なら誰でもそうします。

 ただメイコさんの場合「ストレスから逃れる=親を満足させる」という解決策にすがっていないでしょうか? 

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 望ましい未来として「親との関係改善。これ以上、こちらの精神力を削られたくない」「 親に彼のことを認めてもらい円満に結婚したい」と親のことについて2回も書いているあたり、メイコさんは「現状が苦しいのは親から認められていないからだ→親に認めて欲しい→彼が変わってくれればいいのに→親に認めてもらっている同僚が羨ましい」という思考回路なのだと思われます。

成就したいことを、自分自身でじっくり考えて決めることは大切かも。©文藝春秋

 ですがよく考えてみてください。メイコさんにストレスを与えているかなりの元凶は、その親です。なぜ「ストレスの元凶から逃げる」という選択肢がないのでしょうか? これは、毒親に支配されていて言うことを聞くタイプの人が陥る典型的な思考回路です。どう考えても最も無茶ぶりを言っているのは親なのに「親の言うことさえ聞いておけば平和になる」という思考が染みついており、周囲を親の希望に合わせようとします。周りの人はそれについていけず脱落していくのが王道です。

 これは子供時代はしょうがないことです。子供の時は親が絶対的存在であり、親なくしては生きていけません。経済的に自立していない段階では、生存戦略としては正しいです。しかし、メイコさんはすでに自分で稼いでいます。彼らの言うとおりにしなくても、ライフラインは維持できます。ですがあまりにも長い間支配されていると、人は「これが普通だ」と思い、自分の思考様式に疑問を持たなくなります。

「自分が幸せになるためにどうしたらいいかPDCAサイクルを回そうとすると、こんなに苦しく壁があるとは思いませんでした」という言葉には、これまでメイコさんが自分で意思決定をせずに親の意向を意思決定に反映させてきた過去が見てとれます。

 メイコさんがこれまでうまくやってこれたのは「自分の意思決定と親の意思決定に大きな齟齬がなかったから」であり、おそらく人生で初めて「親の意思決定と自分の意思決定に齟齬がうまれている」状態なのではないでしょうか。「自分以外の婚約者」というこれまでなかったファクターがいるため、これまで成功してきたように「とりあえず言うことを聞く」ことで解決できず、初めての状態で苦しんでいる、というのが現状だと思われます。